外国人インタビュー
がんばる外国人インタビュー ツックさん
日本のアニメが大好き!来日して、いろいろなひととの出会いに感謝しています。
チャン ダン ティエン ツック。24歳。ベトナム出身。介護士。高校卒業後、日本語学校に通い、2018年3月に来日。神村学園専修学校日本語学科に入学し、その後、日本電子専門学校グラフィックデザイン科に進学。日本語能力試験(JLPT)N2合格。21年4月から、東京都内の病院に勤務。
アニメ好きで、来日後はデザインを勉強
――ツックさんが、日本に興味を持ったきっかけは?
小さい頃から、日本のアニメが好きでした。でも、日本のことは詳しく知りませんでした。
大学を受験して合格発表を待っている間に、友だちから誘われて、ベトナムにある日本語学校の試験を受けたんです。そうしたら日本語学校に合格したので、入学することにしました。
最初は日本語を勉強したいという気持ちだけだったのですが、文化なども教えてもらっているうちにだんだん日本に興味を持って、留学しようと決めました。
――そうだったんですね。ちなみに、一番好きなアニメは何ですか?
ドラえもんです(笑)。
私もいつかアニメをつくる仕事がしたいなと思っていて、自分で絵を描いたり、デッサンを勉強したりしていました。
――日本に来てからも、アニメを勉強したのですか?
来日して、まず、鹿児島で日本語学校の1年半コースに通いました。その後、東京の専門学校への進学を考えるときに、アニメーション科にするか、グラフィックデザイン科にするかで迷っちゃいまして……。
もともと、ロゴをつくったり、写真を加工したりすることも好きだったので、結局、グラフィックデザイン科を選びました。
学校では、ポスター制作や、ブランドのロゴ制作、動画の編集などを勉強して、作品を展覧会などに出展したこともあります。
――卒業後、デザイン系の会社には就職しなかったんですね
はい。就職しようと思っていたのですが、家族の都合で、ベトナムに一旦帰ろうと考えていたんです。
でも、コロナの影響で飛行機のチケットが取れなくなってしまったので、「日本でもっと頑張ろう!」と決めて、いまの病院の介護の仕事を紹介してもらいました。
患者さんに対する責任感を大切に
――どうして、介護の仕事を選んだのですか?
鹿児島にいたときに、病院で介護のアルバイトをしたことがあったからです。
そのときは、学費などを稼ぐために「なにか働いてみたいな」という感じで仕事を始めました。
でも、仕事を通していろいろなひとと出会えて、患者さんと話すことで日本語の勉強にもなったので、今回も同じように介護の仕事をしたいと思いました。
――いまのお仕事について教えてください。
寝たきりの患者さんの介護が多くて、皆さんの状態をひんぱんに確認する必要があるので、責任感を持って仕事をしています。
やりがいを感じるのは、患者さんから笑顔をもらったり、「ありがとう」という感謝の言葉をもらったりしたときですね。ものすごくうれしいです。
その一方で、私の日本人の友だちの家族にも寝たきりで介護を受けているお年寄りがいるので、患者さんのご家族の気持ちがわかって、ちょっと寂しく感じるときもあります。だからこそ、患者さんにきちんと接したいなと思っています。
――やさしいですね。とても誇りの持てるお仕事だと思います。
自分が患者さんを助けているというプライドも持てていますし、病院の専門用語などもわかるようになるので、自分の家族や友だちにも誇れる仕事です。
――職場は働きやすいですか?
はい。職員の皆さんがやさしくて、わからないことがあったら、聞けばすぐに教えてくれるので、とても働きやすいです。時間が合えば、一緒に食事に出かけることもあります。
また、同時期に入社したベトナム出身のひとが2人いるので、それも安心です。
休日は、日本でしかできない経験を!
――オフタイムは、何をして楽しんでいますか?
お休みがきちんと取れるので、休日はゆっくりと、パソコンでイラストを描いて過ごすことが多いです。
――どんな絵を描くのですか?
いまは、一緒に働いているひとから頼まれて、そのひとが飼っている犬の絵を描いています。私は“カワイイ系”のタッチが好きなので、カワイイ絵です(笑)。
あとは、日本人の友だちと一緒に、いろいろなところに出かけています。
「日本の文化に触れたいから、日本でしかできない経験をさせてほしい」とお願いして、日本にしかないものを見に連れて行ってもらっています。
――いままで行ったなかで、一番好きなところは?
箱根です。山や川など自然がたくさんありますし、船に乗ったり、黒たまごを食べたりして、とても楽しかったです。温泉にも入りました。
ほかには、草津も好きです。
――もしかして、ツックさんは温泉好きですか?
はい、ベトナムでは周りに温泉がなかったので、日本で温泉旅行するのが大好きです。
一人暮らしをしながら、毎日が充実
――ツックさんが、いま頑張っていることを教えてください。
仕事についていろいろなことを覚えて、自分1人でも介護ができるようになりたいと頑張っています。
また、日本語のレベルをもっと上げたいので勉強も頑張っています。
――いま、一番楽しいことは何ですか?
私は、日本に来る前、自分が1人暮らしできるとは思っていませんでした。1人で生活できて、仕事もできて、自分で料理をつくれるなんてまったく思わなかったんです。私の母も、同じように考えていました(笑)。
だから、いま、ものすごく毎日が充実していて、「生きている!」と実感しながら日々を過ごしています。
そして、日本語を勉強できていることもやっぱり楽しいですね。
ベトナムで勉強だけをしていても、上手に話せるようになるのはなかなかむずかしいと思います。いまは、普段から日本語で話す機会がたくさんあるので、毎日学習できてとてもうれしいです。
いろいろなひととの出会いで、将来の夢が広がる
――今後の夢を教えてください。
やりたいことがたくさんあります。たとえば、日本人の友だちから「ベトナム料理のレストランを開きたいから、手伝ってほしい」と言われています。
介護の仕事についても、もっともっと勉強して、国家試験を受けてレベルアップしていきたいと思っています。
さらに、私に日本のことをいろいろ教えてくれている日本人の友だちが日本語の先生をしていて、将来的には一緒に先生にもチャレンジしたいなと思っています。
――たくさん夢があっていいですね! 大好きなイラストやアニメについては、いかがですか?
そちらも興味があるので、友だちに相談していたら、「私が手伝うから、ツックさんのホームページをつくろう」と言ってくれました。
いま準備中で、自分の作品を公開していこうと思っています。
――それは、チャンスが広がって、楽しみですね。
はい。日本に来て、いろいろなひととの出会いがあって、私を手伝ってくれていて、すごくありがたいです。
良い出会いがたくさんあったことに、感謝しています。