特定技能・技能実習
雇用維持支援の特定活動とは?特定技能の在留資格取得を目指す外国人も知っておくべき在留資格について解説します。
現在、日本には多くの外国人が帰国をすることができずに日本に在留しております。
特に技能実習生を修了している外国人に関しては、本来であれば直ぐに帰国しているはずがコロナウイルスの影響で在留を余儀なくされているケースも多いです。
また、そんな外国人の中には母国に帰国してもしばらくは就職が困難であると見越して、特定技能外国人として、今後、長期的に日本にて就労継続を希望する場合もあります。
今回はそんな外国人が申請することのできる雇用維持支援の特定活動について解説します。
特定活動とは
特定活動ビザとは法務大臣が個々の外国人について活動を指定して発行するビザで、
法務大臣の権限にて発行することができるため、本来であれば新しい在留資格を新設するためには法律の改正が必要なところ、その手続きを短縮することができるため、今回のコロナウイルス下の緊急事態などの際に短期間だけ発行されることもあります。そのため、必要性が無くなった時点で発行の停止がされます。
また、特定活動と言っても、さまざまな用途で発行されており、現在、40種類以上の特定活動があります。
雇用維持支援の特定活動とは
出入国在留管理庁より、コロナウイルスの影響で技能実習を行っていた受入れ企業から解雇された技能実習生、受入れ企業から解雇された特定技能外国人などを対象として日本での雇用を維持するため関係省庁と出入国管理庁が連携して、特定産業分野(特定技能制度の14分野)にて再就職の支援を行うとともに、一定の要件の下、特定活動の在留資格を付与し、外国人に対する本邦での雇用を維持するための支援を行っています。
許可される在留期間は最大で1年間で、現在ではコロナウイルスの感染拡大が収束する見込みが無い為にさらに期間更新(6カ月)も可能となっております。
雇用維持支援の特定活動を申請することができるための条件は「特定産業分野」において就業をして、特定技能外国人となるための業務に必要な技能を身に付けるために在留の継続を希望する外国人のみが対象となります。
申請対象者の範囲
●解雇などの理由により技能実習の継続が困難となった技能実習生
●解雇などの理由により、現在の就労先での就労継続が困難となった外国人労働者
例 : 在留資格「特定技能」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」などが対象
●採用の内定取り消しとなった留学生
●技能実習を修了したが、帰国が困難となった元技能実習生
政府公認のマッチング支援とは
雇用維持支援の特定活動の申請をするために外国人本人と受入れ機関との間で雇用契約を締結する必要があります。
しかしながら、外国人が受入れ機関を自力で探すのが困難で、且つ受入れ機関も外国人材と巡り合うことが困難です。
そのような状況を改善するために出入国在留管理庁が中心となり雇用契約に関するマッチング支援を行っています。
マッチング支援を受けるための手順
マッチング支援を受けることを希望する外国人については、出入国在留管理庁に対して、「個人情報の取扱いに関する同意書」という書類を提出することが必要となります。この勝利を提出した後に希望する特定産業分野に該当する企業などでの再就職のための支援を受けることができます。
具体例としては,出入国在留管理庁に対して、「個人情報の取扱いに関する同意書」にて提出した外国人の情報を出入国在留管理庁が関係省庁や都道府県等の関係機関に提供し、その結果、希望する特定産業分野の範囲内で、求人中且つ採用の希望をしている企業などがあった場合に当該企業、職業紹介機関などより当該書類に記載された連絡先へ連絡が入り、再就職が実現する可能性があります。
●個人情報の取扱いに関する同意書の提出先
〇特定技能外国人として活動していた外国人が失業した場合
特定技能外国人の現在の住居地を管轄している地方出入国在留管理局
〇特定技能外国人以外の方がマッチング支援を希望する場合
〒100-8973 東京都千代田区霞が関1-1-1 出入国在留管理庁 在留管理支援部 在留管理課 雇用維持支援担当
※外国人在留支援センター(FRESC)にて、コロナウイルスの影響で問題を抱える外国人からの相談にフリーダイヤルで対応をしており、本件マッチングに必要な書類作成に関するサポートも行っています。
〇外国人の雇用を希望する機関の場合
雇用維持支援の特定活動を使用して日本にいる外国人の採用を希望する機関については出入国在留管理庁のホームページよりダウンロードすることができる求人事業者登録票を提出することで求人事業者情報一覧に掲載申し込みをすることができます。
その他の注意事項
●技能実習を修了した元技能実習生が雇用維持支援の特定活動へ移行した場合には帰国する際の渡航費用については本人で負担することが原則となります。元技能実習生が帰国費用を負担することができない場合については受入れ機関が帰国渡航費の負担をすることになります。この点について、通常、技能実習生は入国と帰国の渡航費を受入れ企業が負担するため、特定活動となった後に受入れをする新たな受入れ機関において、外国人に対してこの点について十分に説明をして、本人の理解を十分に得た上で雇用契約を締結するようにする必要があります。
●雇用維持支援の特定活動の外国人を受けた受入れ機関が経営状況の悪化などの理由により、受入れ継続が困難になった際には、「受入れ困難に係る報告書」を最寄りの地方出入国在留管理局・支局宛へ提出する必要があります。
●14分野ある特定産業分野の内、製造業3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)での雇用維持支援の特定活動が認められる外国人は、当該3分野で活動していた特定技能外国人又は当該3分野へ技能実習2号良好修了者として試験免除で移行できる職種・作業の技能実習を行っていた元技能実習生に限られ、その受入れ機関の都合で解雇された外国人や技能実習修了後も帰国困難な修了者などに限定されています。
まとめ
今回は雇用維持支援の特定活動について解説をしました。
この在留資格を申請する外国人は帰国困難が元技能実習生が大半を占めています。
現状では技能実習生の母国でもコロナウイルスの影響が収まる見込みが立っておらず、また、日本においても感染者増加傾向にあります。
最初の段階では最大で1年間の期間のみ許可がされていたこの特定活動でも現在では6カ月の期間が新たに許可される更新が可能となりました。
このように、日々変化する情勢に応じて雇用維持支援の特定活動の適応ルールも変化しているため、日々情報の確認をすることが必要です。
また、この特定活動では製造業での一定の制限などはありますが、基本的に他業種への移行も可能となっております。
他業種への移行が認められた背景には国内で就職難となっている外国人がいる一方で技能実習生を含む外国人の新規入国が困難なために人手不足となっている企業も多く存在するため、このような措置が取られています。
特に一時期は農業分野にて人手不足が深刻となり、テレビでも取り上げられることが多くなっていました。
コロナウイルスの影響が収まるまではこれらの制度も上手に活用して外国人と受入れ企業の双方にメリットがあるような方法を考える必要があると言えます。