2019年4月より開始された特定技能制度は始まってから2年ほどが経ちますが、未だに頻繁な法律の変更があり、申請書類の更新についても度々発表されています。そんな中でも特に、日本と特定技能外国人の母国との取り決めについては頻繁に更新がされており日々、入国管理局のホームページを確認する必要があります。

今回は日本とベトナムの間で結ばれた特定技能制度に関しての取り決めやベトナム人を特定技能として受け入れる際の必要書類について紹介します。

日本とベトナムの間で結ばれた特定技能についての取り決め(協力覚書)の内容

協力覚書の目的

特定技能外国人を適正に日本へ送り出すことまた、円滑に送り出すことを目的として締結されました。この覚書によって特定技能外国人を保護し、両国間の相互の利益強化をすることについても期待されています。

連絡窓口

協力覚書に基づく協力を効果的に実施するためそれぞれ下記の連絡窓口が設定されております。

日本国 : 出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課

ベトナム : 労働・傷病兵・社会問題省海外労働局

協力覚書の主な内容

下記項目について情報共有を行う

特定技能外国人又はその親族や関係者より行う保証金の徴収やその他の名目の金銭徴収があればその情報について

特定技能契約について、不履行となった場合に違約金を課す契約をしたり、その他の不当な財産の移 転契約についての情報

特定技能外国人に対しての暴行,脅迫,自由の制限など人権を侵害する事由についての情報

出入国管理局への申請の際に虚偽の申告や不正を行うことについての情報

特定技能外国人から,法律により認められない手数料などを徴収することについての情報

特定技能外国人に対しての徴収費用についての情報を本人に理解させず、またその算出根拠も不明な場合に関する際についての情報

特定技能外国人の求人や特定技能外国人の受け入れに関する法令に違反 する行為についての情報

技能及び日本語能力試験における協力

日本の省庁において、ベトナム国内で実施をする特定技能外国人の技能・日本語能力試験の内容を準備し,その実施に関しての計画について事前にベトナムの省の同意を得ること。

日本の省庁が受験するベトナム人の候補者一覧と合格した候補者一覧をベト ナムの省に提出すること。

ベトナムの省は,試験実施に際して、必要に応じて試験監督官や職員を準備し,日本の省庁 などから要請を受けた場合は,可能な範囲で協力すること。

試験や受験の申請の方法などに関する情報は,ベトナムの省の同意を得た後に在ベトナム日本大使館のウェブサイトに掲載すること。

別人による受験,合格を証する文書の偽造又は変造などの試験における違反行為を発見した場合は当該情報を共有すること。

日本の省庁とベトナム省庁それぞれが決定した約束

協力覚書の中で、日本・ベトナムそれぞれの省への約束事が決められており、その中でも抑えておきたい取り決め内容について紹介をします。

日本の省庁の約束 

●ベトナムの省から許可を与えられたベトナム国内の海外雇用サービス提供をする機関により送り出されたベトナム人。

●日本国内に現在在留し,特定技能外国人として働くために受入機関によって 直接採用された者ベトナム人。(下記の2パターンが想定されています)

○技能実習2号を修了したベトナム人技能実習生。

○日本国内で2年間以上の課程を修了し、その証書を取得する学校を修了した後に試験合格後「特定技能」への在留資格変更申請を行ったベトナムからの留学生。

●日本語教育,技能訓練,特定技能外国人の雇用契約終了後の帰国費用を含む渡航費用その他の費用であってベトナムの規則を考慮に入れて特定技能外国人を送 り出すために必要なものに関して,受入機関の費用分担についての原則をガイド ラインに含めること。

●ベトナムの省から特定技能外国人を日本国に送り出す意図を有する送出機関に係 る情報を受けた場合には,当該情報を日本において公表すること。

●ベトナムの省から送出機関の許可の取消しに関する情報を受けた場合には,その情報を日本において公表すること。

●受け入れ機関に対して改善命令(改善命令の根拠となる調査の結果を含む。)を行った 場合は,ベトナムの省に対して当該命令を通報すること及び登録支援機関の一 覧をベトナムの省と共有すること。

●受け入れ機関が適切な住居確保のためのサポートを特定技能外国人へ実施すること。特定技能外国人が住居について定期的に支払う費用は受け入れ機関が実際の費用より多く徴収す ることを禁止すること。

●不正行為を行った登録支援機関又は受け入れ機関に関する連絡を ベトナムの省から受けた場合は,調査を行い,ベトナムの省に当該結果を報告すること。

●退学や除籍された生徒,失踪した技能実習生又は難民の在留資格を申請し ているベトナム人など,欠格事由に該当するベトナム人が日本において技能試験を受験することを禁止すること。

●ベトナムからの特定技能外国人の受入れに関する照会をベトナムの省から受けた 場合には,必要な情報を提供すること。

●留学生が特定技能への在留資格変更する際に,基本的人権の尊重の観点から,日本での就労を目的として留学制度を悪用するのを防ぐた めに教育機関の厳正な審査を含んだ適切な措置を講ずること。

●ベトナムの規則(禁止された職業に該当しないことや区域に関連する規定)に従って,手続を完了していないベトナムからの特定技能外国人を受け入れないこと。

ベトナムの省の約束

●特定技能外国人の送出を行う機関が基準を満たしているかについて審査を実施し,基準を満たしている場合だけ認証をすること。ベトナムの法令に反する不適行為をした受け入れ機関に送出機関がベ トナムからの特定技能外国人の送り出しを許可しないこと。

※ベトナムの法令に反する行為とは特定技能外国人を採用する前提にて、送出機関やその従業員からホテル代,航空券,金銭,接待の要求やそれを受領することやベトナムの規則により禁止されている職業や区域へ特定技能外国人を送り出すこと。

●送出機関の名前や情報を公表し、その情報を日本の省庁に提供すること。

●送出機関が違法な活動やその他、適切でない活動を行ったことに関する通報を日本の省庁より受けた場合は、その送出機関へ調査を実施して、必要な指導や監督を行い,その結果を日本の省庁に報告すること。

●受け入れ機関へ実施した改善命令や登録支援機関一覧についての情報提供を日本の省庁より受けた場合には,その情報をベトナムにおいて公表すること。

●特定技能外国人を適切な方法で選出し、送り出しをするために送出機関へ指導を行い、送出機関が基準を満たさなくなったと認定された場合には許可の取り消しを行い、日本の省庁に報告すること。

●手数料もしくは費用を規定する関係規則を作成すること又はそのような規則を定めるようベトナムの権限を有する当局に提案すること。

●特定技能への申請手続きを完了できるよう推薦者表を作成するこ と。

●特定技能外国人の送出しに関して、日本の省庁より照会依頼を受けた場合には、必要な情報を提供すること。

まとめ

今回は日本とベトナムの2国間において、特定技能制度について取り決めされた内容を中心に紹介をしました。

他国との間でもそれぞれ取り決めがされておりますが、決定事項については更新されることもあるため、出入国管理局のホームページなどより発表内容について定期的に確認をして行く必要があります。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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