日本企業が求める外国人労働者の中でもベトナム人の需要が急増しています。法務省発表の在留外国人数のデータによりますと、中国に次いでベトナムは2位。在留ベトナム人数は着実に増加の一途をたどっているのが読み取れます。この背景には【技能実習生】と【留学生】の在留資格を持つベトナム人の動向が大きく反映しています。

また、新しい在留資格・【特定技能】においては国籍別でベトナム人が1位となっており、日本の労働力不足の現状にグローバル人材として大きく貢献しているベトナム人は、アジア各国から抜き出た立ち位置を確立してきています。

在留ベトナム人数、国別で2位

2020年末時点、法務省のデータによりますと、国別在留外国人数の順位は、

1位中国/ 2位ベトナム/ 3位韓国/ 4位フィリピン/ 5位ブラジル/ 6位ネパール/ 7位インドネシア/ 8位台湾/ 9位アメリカ/ 10位タイ

2位の在留ベトナム人数は2020年末448,053人、前年度に比べて+36,058人増加、増加率8.8%となっています。(前年度2019年末 411,968人)

在留資格別のデータでは、ベトナム【技能実習生】208,879人と、中国63,741人に大きく差をつけて1位となっています。

在留ベトナム人増加率にコロナ影響大

2020年末の法務省のデータでは、在留外国人数は2,887,116人、前年度に比べて46,021人減少し、日本に在留する外国人数は8年ぶりの減少となっています。

この全体的な数値の減少には、ベトナム人【技能実習】と【留学生】がコロナ禍の移動制限で減少したことが影響し、確かな歩みを踏んで来たベトナム人人材の流れは、ここに来て大幅に状況が変動してきています。

在留資格別では【技能実習】と【留学生】の減少が際立った特徴として見られますが、在留ベトナム人全体数としては前年度より増加している結果となっています。

また、ベトナム人の配偶者や子供に該当する【家族滞在】の増加率も特徴的な動きであり、日本に長期滞在や永住希望のベトナム人が増えてきている傾向が読み取ることができます。他に、コロナ禍の措置として設けられた在留資格の変更によって【特定活動】に移行した人数も前年度より増加しています。

在留資格別の対前年末増減率(%)

・中期在留者448,050人(8.8%増加)
・永住者18,472人(7.5%増加)
・技能実習208,879人(4.5%減少)
・技術・人文知識・国際業務61,181人(18.3%増加)
・留学65,653人(17.2%減少)
・定住者5,739人(1.5%増加)
・家族滞在25,961人(20.1%増加)
・日本人の配偶者4,983人(8.3%増加)
・特定活動41,331人(551.0%増加)
・その他15,851人(131.7%増加)
・特別永住者3人(0%)

在留ベトナム人数、急増の要因

コロナ以前までの在留ベトナム人の流れについて振りかえって見ますと、増加が始まった要因として【技能実習制度】の導入があげられます。

ベトナムは、技能実習制度の導入時にいち早く参入した国であり、2016年12月末時点で技能実習生の最大の送り出し国となり(88,213人)、2017年には技能実習に関する協力覚書(MOC)二国間協定がかわされています。

在留ベトナム人数は2010から2018年の間におよそ30万人急増し、これまで多かった在留中国人は、中国の経済発展により減少傾向となり、中国人に変わる人材としておもにベトナム人が注目されています。

【技能実習制度】は1993年に制度化され、法改正を何度も繰り返し2017年には従来の法律から大きく変更され、ベトナム人技能実習生の増加へと繋がってきました。

また、【技能実習生】の往来以前には、2008年の「留学生30万人計画」によるベトナム人留学生の流れがあり、安倍政権誕生からの7年間で約8万人受け入れが行われています。

コロナ禍の入国緩和措置にベトナム人ラッシュ

ベトナム人【技能実習生】や【留学生】が急増する経緯に伴い、不法労働や技能実習生が失踪するケースも増えてきています。

法的罰則の理由で国外退去による移動も見られますが、一方ではベトナム人の日本入国の流れが継続してきたケースもあり、2021年1月の緊急事態宣言の水際対策においては、入国制限緩和国としてベトナムがあげられ、この時期に最も多かった国籍はベトナム人です。

入国した外国人を在留資格別に見ますと、【技能実習生】【留学生】が全体の7割を占めており、ビジネス関係者の出入国緩和というコロナ措置の背後には、おもにベトナム人技能実習生または留学生の入国が多くあったという事例があります。

この時期に入国許可された国はベトナムを含めて11カ国、1月21日の入国制限まで継続されました。

特定技能の動向

【特定技能】においては、2020年12月末時点の在留ベトナム人9,412人(前年度から4,071人増加)となり、国別在留資格人数では1位となっています。

【特定技能】の増加率については、制度の課題点やコロナ禍の影響による想定外の数値と見ることもできますが、【技能実習制度】導入からの経緯や、これから期待する特定技能制度の見直し、技能実習生からの移行、そして特定技能の認知度が高まることなどを踏まえて、将来的に【特定技能】のベトナム人が活躍できる現場が増えてくることが予測されています。

日本とベトナムの水際対策によって、従来通りのプロセスを踏むことが難しくなっています。日本とベトナムの感染状況により各所制限も著しく変更されています

長い年月をかけて歩んできたベトナムと日本の連携、またベトナム人の功績は、今までのデータ数値に大きく表れています。そして将来的にもベトナム人に再び明るい兆しが見えることが期待されます。

※参考元:法務省出入国在留管理庁、在留外国人数・2020年12月末/特定技能2020年12月のデータより

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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