日本にいる外国人が目指している在留資格の中でも多くの外国人が取得を目指している永住権について特定技能外国人はどのように取得を目指せるのかも含めて解説をします。

永住権をもつ外国人とは

永住権をもつ外国人とは在留資格「永住者」をもつ外国人のことを指します。

この在留資格をもつ主なメリットは➀在留期間の更新が無制限で手続きも簡単であること②就労できる範囲についての制限がなくなることがあります。

まずはそれぞれの2つのポイントを解説します。

➀在留期間の更新が無制限で手続きも簡単であること

通常、在留資格の更新の手続きの際には納税証明書やその他の書類を集めて、出入国在留管理庁へ申請をし、手続きに時間がかかる場合であれば数カ月以上の審査を経た上で、やっと新しい在留カードを受け取ることができますが、永住者の在留カードの期間更新の際には申請書だけを準備すればよく、原則、更新手続きを行った当日に在留カードが発行されます。

また、有効期間も7年間あるため、更新手続き自体も頻繁に行う必要はありません。

②就労できる範囲についての制限がなくなること

外国人に発行されている在留資格の中でも就労範囲について制限が無いのは「永住者」を含めて、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4つの在留資格しかありません。

これらの在留資格をもつ外国人に関しては日本においてどのような職場でも就労することができるため、受入れ企業も不法就労の外国人を雇用してしまう心配などをする必要もありません。 また、現在日本では単純労働の職場で外国人を雇用することは認められていませんが、この4つの在留資格をもつ外国人に関してはそのような職場でも就労をすることができます。

永住者の在留資格取得要件

既に解説したように、永住者の在留資格を取得した外国人は日本では他の外国人と比べても様々なメリットを享受することができます。その為にこの在留資格を申請できる要件についても難易度が高く設定されているため、主な3つの要件について解説します。

この在留資格を申請できるようになるための要件については➀素行善良要件②国益要件➂独立生計要件の3つの要件を満たす必要があります。

➀素行善良要件について

日本において、法令を遵守した生活を送り、住民として社会的にも非難されることのない生活を営んでいることとされています。

基本的には日本、又は日本以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮、罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金等は除く)に処せられたことがある者については素行良好要件に抵触してしまい不許可となる可能性が高いです。

また、審査の過程で、日本国内においての情報については地方検察庁、少年院、保護観察所などへ過去の犯罪歴などを照会されるため、虚偽の申請などもできません。

②国益要件について

下記の➀~⑤について満たしている必要があります。

➀原則として引き続き10年以上の期間日本に在留していること。ただし,この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること。

永住者の在留資格を取得する外国人のルートでも多い、留学→人文知識・国際業務→永住者の場合では、留学生として日本に在留していた期間も10年の内の期間として加算されますが、留学の在留資格は就労資格と居住資格のどちらにも該当しないため、5年間の要件の方は満たすことができません。

②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。

素行善良要件と同じく、犯罪歴がないことなどが必要です。

➂公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

日本に在留している間に納税義務を順守しているかどうかや常に適正な手続きを経て日本に在留していたかどうかが必要になります。

④現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

在留資格によって、それぞれ付与される在留期間が決まっており、5年、3年又は1年などと、何れか定められた期間が付与されますが、その中で最長の在留期間を取得していなければ永住者の在留資格申請をすることができません。

⑤公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

「公衆衛生上の観点」とは感染症やその他の要因により有害であるとみなされる可能性が無いか確認されます。申請時に生活している住居がごみ屋敷かどうかなども考慮された事例があります。

特定技能外国人が永住者を取得するまでの要件

特定技能外国人についても最終的には永住者の在留資格を目指している方が多いと思いますが、簡単に永住者の在留資格を取得するための要件を満たせてしまうと、実質的な移民制度であるとの批判もあるため、特定技能外国人にとっては難易度の高い要件が設定されております。

特定技能外国人については既に解説をした要件に加えて、在留期間の要件について厳しく設定されており、特定技能1号の在留期間は「引き続き10年間以上日本に在留していること」の10年間に含まれないため、実質的に永住者の在留資格申請をすることができません。

また、現在では特定技能1号の在留資格申請をする外国人のほとんどが技能実習生を約3年間又は5年間修了した外国人ですが、技能実習の期間についても永住者の要件である10年間の期間には含まれないとされているため注意が必要です。

上記を踏まえると、技能実習生を経て特定技能1号の在留資格を取得している外国人に関しては特定技能1号の5年間を終えたとしても、永住者要件である10年間については全く満たしていないことになるため、そこから他の在留資格に切り替えて就労などができれば永住者の在留資格取得のためには新たに10年間の期間を経る必要があります。

現在は「建設」と「造船・船舶工業」のみが認められている特定技能2号については10年間の期間に加算されることが発表されておりますが、特定技能2号に関してはどのように特定技能1号から2号へ移行することができるのかやその他の要件についても決定しておらず、14分野ある特定技能の産業分野の中でも2分野のみでしか認められていないため、多くの特定技能外国人については該当しないことになります。

結果的には特定技能外国人の多くは永住者の資格を目指すこともできず、特定技能2号の外国人だけが目指すことができます。

特定技能2号の在留資格については無期限での在留期間更新や家族帯同も認められているため、この在留資格を取得することができた特定技能外国人については10年間の期間就労することも現実的だと言えます。

まとめ

今回は永住者の在留資格の取得要件などを中心に特定技能外国人が永住者を目指すことができるのかについても検証をしながら解説をしました。

技能実習や特定技能については実質的に現在、日本の人手不足の産業分野にてなくてはならない在留資格であり、30万人以上の外国人がこの在留資格を取得して日本の企業にて雇用されております。

しかしながら今のところ日本政府の方針としてはこれら2つの在留資格に関しては多くの外国人が目標としている永住者とはなりにくい内容となっています。

今後、少子高齢化の進む日本では外国人の労働力は無くてはならないものとなるため、今後の法整備なども注視しながら在留している外国人の方は永住者の申請の機会を待つ必要があります。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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