コロナの影響で海外から技能実習生や特定技能の外国人が入国できない状況が続いており、企業は入国してくる外国人も見込んで人員計画も考えているため、大きな痛手となっております。そんな企業の中には人員を確保するために国内にいる外国人人材を獲得しようとする動きがあり、主に技能実習を修了して帰国待ちとなっている外国人を特定技能として雇用しています。今回は現在、増えている国内にいる外国人材を特定技能として雇用する際の確認事項や必要書類について紹介します。

現職の退社前に確認事項

他社で就労している外国人を特定技能として雇用する場合はそのほとんどが面接を経ていると思います。多くの場合は技能実習生か現在であれば、コロナ下のために帰国ができない特定活動の在留資格で就労をしている技能実習修了者であるので、退職をする会社や監理団体とも連絡をとり退職日や引越日について確認をする必要があります。

特定技能手続きのために必要な書類について

面接を実施して合格者が決定したら、特定技能として雇用を開始するための手続きをしていく必要があります。複数名を雇用する場合はアパートの手配や引越日、就労開始日はそれぞれの技能実習修了日や会社との約束などもあり別々となることが多いです。そのような場合、アパートに3名で住む場合には1名が数カ月早く引越・入居を開始してその数カ月間は1名で全ての家賃を払う必要があるのか、それとも会社が補助してくれるのかなど考える必要もあります。また、合格後すぐに技能実習が修了してしまう場合などには特定活動という在留資格に一旦切り替えることで早ければ数週間ほどで特定技能として就労する新しい会社で働きはじめることができます。通常、特定技能の申請には早くても2カ月程度はかかり、タイやベトナムなど国独自の手続きが必要な場合には3カ月以上かかる場合もあります。それに加え製造業分野の特定技能の場合は特定技能外国人受け入れの前に協議会へ加入することが必須となっており、その協議会加入にも2カ月ほどの期間がかかります。特定活動の在留資格で就労できる期間は4カ月でその間に特定技能の手続きができるため、特定技能となりたい外国人にとってはすぐに就労開始ができ、数カ月間のアパート待機をすることもありません。このように他社からの外国人材を特定技能として受け入れる場合には様々な想定しなければならない場面がでてきますが、特に手間がかかるのが申請のために必要な書類を集める作業です。書類については特定技能外国人自身で集めてもらわなければならない場合もありますのでまずは必要な書類について知っておく必要があります。

特定技能申請手続きに必要な外国人自身が集める書類

1.源泉徴収票
2.課税証明書
3.納税証明書
4.健康診断結果
5.国民健康保険被保険者証の写し
6.国民健康保険料(税)納付証明書
7.国民年金保険料領収証書の写し
8.技能実習生時の履歴書

1.源泉徴収票については取得する課税証明書に対応する年度のものでなければなりません。例えば、令和2年度の課税証明書を取得した場合は令和1年度の源泉徴収票を提出することになります。

2.課税証明書は取得可能な直近1年度分を提出する必要があります。

また、課税証明書は毎年6月頃に新年度のものが発行できるようになります。発行日については請求する管轄の役所によっても違うようです。

3.納税証明書は全ての納期が到来している直近1年度分が必要です。そのため、課税証明書とは違う年度のものになる場合もあります。例えば令和2年度分の納税証明書を取得して全ての納期が到来していなかった場合は、前年度の平成31年度分を発行して提出することになります。

4.健康診断結果は日本にいる外国人に関しては1年以内に受診した結果を提出する必要があります。もし、海外にいる外国人を特定技能として呼び寄せをする場合、海外で受診した健康診断結果については3カ月以内に受診した結果のみ提出できます。また、健康診断の際に受診しなければならない項目については入国管理局より指定されており、診断結果についても例えば”再受診が必要”と記載された項目などがある場合は再受診をして再度健康診断結果を提出するように求められる場合もあるので注意が必要です。

5.国民健康保険被保険者証の写しは会社の健康保険ではなく、自身で国民健康保険に加入している場合に提出が必要です。現在では、技能実習が修了したがコロナの影響で帰国ができず且つ、技能実習を行っていた会社では仕事が無かった外国人の場合を採用した場合にあるケースです。一旦、技能実習時の企業と雇用契約が終了しており、自宅待機などをしていた期間は国民健康保険への加入義務が発生しているため、国民健康保険被保険者証写しの提出が必要となります。

6. 国民健康保険料(税)納付証明書は国民保険を滞納なく支払っている証明をするための書類です。国民健康保険料は外国人自身で支払う必要があるため、支払っていない場合が多いため、必ず支払うように指導する必要があります。

7.国民年金保険料領収証書の写しは国民健康保険と同様に年金を支払っている証明のために提出をする書類です。

8.技能実習生時の履歴書は会社または監理団体より入手します。技能実習生の最中にも外国人技能実習機構や入国管理局へ履歴書や職歴を提出していますが、その履歴を本人が分かっていない場合も多いため、実際に提出されている履歴を確認する必要があります。特定技能の申請について以前までは履歴書の提出が求められていましたが、現在は不要になりました。しかし、特定技能の申請書の中に職歴を記入する欄は残っているため以前提出している職歴については確認をする必要があります。

主に入社手続きに必要な退社日までに入手すべき書類

1.雇用保険被保険者証
2.年金手帳
3.銀行口座
4.マイナンバー番号のわかる書類
5.郵便局に転居届を提出

1.雇用保険被保険者証は前職で加入している雇用保険の情報を新しい会社に引き継ぐために必要な書類です。会社によっては退職してしばらくしてから郵送で送られてくる場合もあるので取得まで時間がかかる場合もあります。

2.年金手帳は会社が保管している場合もあるので退職時までに前職から受け取るように雇用する外国人へ伝えておく必要があります。

3.銀行口座については、技能実習時に作成した口座をそのまま使える場合もありますが、会社や組合の方針によっては一旦口座を解約するという場合もあるようなので確認が必要です。また、将来特定技能として5年間の就労が終わり、母国へ帰国する際には銀行口座の解約を行う必要がありますが、その際には基本的に銀行口座を作成した支店にて手続きをする必要があるため、注意が必要です。

4.マイナンバー番号のわかる書類については技能実習生から特定技能に移行する方に関してはマイナンバー通知カードをもっているので、このカードでマイナンバー番号を確認できます。また、通知カードは紛失すると現在再発行は行っておりませんので、一番簡単な方法はマイナンバー番号を記載した住民票を取得する方法です。

5.郵便局の転居届は引越日のあとにすぐに行うことが必要です。退職する会社からの書類なども届く可能性があるので、必ず実施します。

まとめ

他社などからの特定技能外国人を雇用する場合は自社で技能実習を行っていた外国人を特定技能へ移行する場合よりも多くの手間がかかります。なるべく手間を省き、手続き上の失敗を避けるためにも手続きや必要書類については事前に確認をしておくことをおすすめします。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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