ベトナム人を会社に迎えたものの、まだ日本語が不慣れである、仕事に特有の言葉が伝わらないなどの問題に直面することがあるでしょう。また、ベトナム人の日本語の言い回しに違和感を抱くこともあるかもしれません。しかし、ベトナム語の特徴を理解すれば、スムーズにコミュニケーションがとれることも多いのです。そこで、ベトナム語の特徴や、それを活かしたコミュニケーションのコツを解説します。

ベトナム語の特徴①:基本はアルファベット

ベトナム語はアルファベットの上下に「声調記号」や「母音記号」をつけて表記。記号の種類により単語の発音や意味が変わってきます。

独自の読み方や発音が多い

ベトナム語はアルファベットを使うものの、F、J、W、Zの4文字は使用しません、発音は英語と似ているものの、「声調記号」や「母音記号」が加わることで、独自の発音に変化します。ベトナム人の名前も、綴りは同じでも発音が全く異なることが少なくありません。

漢字由来の単語が中心

ベトナムの公式言語は長らく漢字で、中国の影響を強く受けているため、大部分の単語は中国の漢字で表記できます。日本人でも知っている漢字を組み合わせ、その発音をアルファベット表記するという感じです。日本語も中国の影響を受けているため、注意=Chú ý(チュウイ)のように、発音が同じということもあります。

英語やフランス語の影響も強い

英語やフランス語の影響を受けているベトナム語も多いため、日本人でも理解できることが多々あります。ベトナム人が電話に出るときに使うのが、Alo(アロー)という表現。これはフランス統治化時代、「Hello」のフランス人の訛りをマネして、アローとなったと言われています。コーヒーのCaphe(カフェー)も同様の経緯があります。

ベトナム語の特徴②:文法は英語と中国語のミックス

ベトナム語の文法は、中国語と同じように単語の連続により意味を形成する孤立語から成り立っています。語順については英語と同じようにSVOが基本となっています。

SVOを基本に表現される

ベトナム語の語順は、「わたし 飲む コーヒー」というように、主語+動詞+目的語となっています。そのため、日本語に不慣れなベトナム人は、「私は 飲みますね コーヒー」のような言い方をします。仕事に必要な日本語を教える場合、簡単な動詞と名詞を中心に教えれば、スムーズに意思疎通ができます。語順の違いは気にしないことがポイントです。

語形の変化は少ない

英語と似ているベトナム語ですが、その構造は英語よりもシンプルで、語形の変化はほとんどありません。孤立語で構成されているため、過去、現在、未来をあらわす単語を加えるだけで、時間の関係を言い表せます。ただ、時制をあらわす単語を使わないベトナム人も多数。そのため、過去や未来のことでも、現在形で表現する傾向があります。

はっきりとした言い方も特徴

中国語の孤立語と、英語のSVOを基本としていることから、ベトナム人の表現はかなりはっきりしています。たとえば、残業ができないときは「私はできません」、お腹が空いていないときは「私は食べません」というように、切り捨てるような言い方をすることもあります。物言いが失礼に感じるかもしれませんが、これもベトナム語の特徴からくる表現。そのため大目に見るようにしましょう。

ベトナム語の特徴③:日本人でも使いやすい

ベトナム語は、日本語とは異なる特徴も多いのですが、簡単な会話ならすぐにできるようになります。

必要なベトナム語だけピックアップ

仕事で必要な表現は、日本語の教科書には掲載されていません。そこで、仕事に関するコミュニケーションについては、簡単なベトナム語を織り交ぜることも一案です。ただし、ベトナム語は、日本人には馴染みのない発音が多数。言い回しが長くなればなるほど、伝達が難しくなります。そのため、名詞なら名詞だけ、動詞なら動詞だけをピックアップすることがポイント。単語ひとつだけなら、多少の発音のミスがあっても、ベトナム人は言いたいことを予想できます。

翻訳アプリを併用する

ベトナムではスマホ文化が浸透しているため、ほとんどのベトナム人は翻訳アプリを使いこなしています。そこで、翻訳アプリを使ってベトナム語でコミュニケーションをとることも一案です。ベトナム人にとって馴染みがあるのがGoogle翻訳。誤訳も少ないので、ベトナム語によるコミュニケーションの助けとなるでしょう。長い文章ではなく、SVOに絞って翻訳することで、コミュニケーションのミスを防げられるでしょう。

ジェスチャーを織り交ぜても効果的

会話のなかにベトナム語を取り入れる場合、ベトナム語とジェスチャーをセットで使うことで、さらにコミュニケーションがスムーズになります。日本人側が、不慣れなベトナム語を身振り手振りで使うことで、ベトナム人も不完全な日本語を使いやすくなるなど、相乗効果も期待できます。

まとめ

ベトナム語は、発音が複雑ではあるものの、英語と似ている言語のため、日本人でも理解できないことはありません。英語や日本語と似ているベトナム語もあるため、分かるものは積極的に使っていくと、スムーズなコミュニケーションにつながると思います。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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