2020年10月時点、法務省発表の在留ネパール人数は、95,367人。中国、韓国、ベトナムに続いて6位となっています。

ネパールから日本への就労においては、2008年にスタートした留学生30万人計画で来日したネパール人留学生を始め、技能実習ビザや特定技能ビザで日本を目指す若者が多く、コロナ禍で移動制限がある中、ネパール国内の日本語学校で学ぶ学生や日本に行きたいと希望しているネパール人たちは、日本入国のための準備をしながら待機しているのが現況です。

外国人採用活動が高まって来ている昨今、国籍別での選択が採用計画のひとつの検討材料となっていますが、今回はネパール人を採用した場合を例題に、前もって知っておきたいネパールについての基本情報を紹介していきましょう。

ネパールの国の基本情報について

●国名:ネパール連邦民主共和国

2008年、240年間続いた王制が廃止となり、連邦共和制に移行。

●人口:30,424,878人

●国土:147,000k㎡(北海道の約1.8倍)

●首都:カトマンズ

ユネスコの世界文化遺産の指定都市。ネワール民族の文化が色濃く残るレンガ造りの街並みやヒンズー教寺院、また近代的な街並みが混在する景観が特徴的。

都市化が遅れているカトマンズは、人口が急激に増加しているため、ゴミ処理問題、大気汚染、騒音問題、水問題、交通渋滞などの問題があります。また今だライフラインが整備されていないため各地域ごとに様々なアクシデントが多発しています。

●公用語言語:ネパール語/ネパール語以外に各民族ごとに異なる言語を話します。

ネパールの私立校では英語教育(ネパール語授業以外は英語で行う)ため英語の修得率が高くなっています。高齢者のネパール人でも英語でコミュニケーションができるくらい、社交性と英語脳に優れています。

●宗教ヒンズー教が主流で他、仏教・キリスト教・イスラム教など

年間を通して宗教儀式が頻繁に行われ、ネパール庶民は毎年恒例の行事をこなしながら暮らしています。ヒンドゥー教の礼拝方法は、カースト・民族・地域・家庭や個人々によって異なり信仰する神々によっても様々なスタイルがあります。

●多民族国家100以上の多民族が共存している国。各民族ごとに宗教感、習慣文化、しきたり、結婚式や葬式の手法、暮らし方や働き方、考え方など、同じネパール人でも少しづつ異なります。

インド・ヨーロッパ系(バフン・チェトリ・カミなどの民族)

チベット=ミャンマー系(ライ・リンブー・タマン・ネワール・グルン・マガール・シェルパなどの民族)

●産業農業・貿易・卸売り業・交通・通信業・ヒマラヤ観光業

●通貨:ネパールルピー/NPR ※1円=1.0739ルピー(2021年9/15レート)

●一人当たりGDP:1,084米ドル(2020年)

●平均月収:20,400 NPR

日本の最低賃金全国平均が時給930円(2021)。ネパールと日本の賃金格差は、ネパール人が日本就労を希望する理由の一つとなっています。経済成長国の他のアジアの国と比較すると、開発途上国であるネパールでは就労チャンスに恵まれない環境であるため、給与水準が高く治安の良い日本を目指す傾向にあります。

●物価:インフレで物価は高騰。インフレ率4.20%(2021)

一般庶民の活用する店と観光地の店では同じ品物でも価格の上下があります。

貧富の差

ネパール庶民の家計は、高所得と低所得の家庭では大きな格差があり、ライフスタイルも当然異なります。ネパールでの暮らしは、貧富の差による軋轢(あつれき)も多く、海外ツーリストがネパールで体験する「ぼられる」という行為も海外とネパールの経済格差から発生するネパール人の行動意識のひとつです。

●国際線トリブバン国際空港

カトマンズ中心地から約6km東に位置し、市内へはバスやタクシーで移動が可能。

バスは1乗り15~25ルピー/空港から市内ホテルまで1000ルピーくらい~

日本との時差は、3時間15分(日本の午前9時はネパールの午前5時45分)

●国際電話番号:+977

●国旗:世界で唯一四角形ではない国旗。ネパールのナショナルカラー赤と平和を表す青にヒマラヤ山脈と月と太陽がモチーフとなっています。

●食事ダルバートタルカリ(ネパール米/タルカリ/肉や魚のおかず/ダルスープ/アチャールのセット)

米はさらっとした粘り気のない米。タルカリは野菜のスパイス煮または炒めおかず。肉や魚はスパイスで味付けしたおかず。ダルスープは、スパイスを使った豆のスープ。アチャールは、主に野菜にスパイスで調理した辛味のある漬け物。

食事は一日2回が一般的。

●季節: 2シーズン6月~9月の雨期、10月~5月が乾季

ネパールはインドと中国の間に位置し、ヒマラヤ山脈に囲まれた農業を中心とした暮らしが基本となる地域性と、10月からの山岳シーズンに合わせて一年に一度の大きな祭りダサインとティハールの時期(10~11月)にはツーリストがネパールに訪れる観光シーズンとなります。

●主な観光地名:カトマンズ/パタン/バクタプール/ポカラ/ルンビニ/ルクラ/ナガルコット/ナムチェバザール/クムジュン/チトワン/など

治安:観光地での自称ガイドからの高額チップ請求、バス内でのスリ盗難、格安宿でのトラブル、繁華街でのドラッグ勧誘、バンダ(ゼネスト)など、注意して行動する必要があります。

ネット環境:ADSL・ケーブルTVネット・3G・高速WiMAXが普及しています。公共施設やレストラン、ホテルでは無料Wi-Fiが利用できます。

一般家庭でのネット普及率は低く、コロナ禍のオンライン授業はパソコンやネット環境がないため実施できない生徒が大半です。

●スマホ:携帯電話通信会社は、公営のネパールテレコムと私営のNcell(エヌセル)の2社

●在ネパール日本大使館:P.O.Box No. 264 Panipokhari, Kathmandu, Nepal.

まとめ

ネパールの基本情報について説明いたしました。

外国人を社員またはアルバイトで採用の際は、外国人の国の情報について一通り知っておくと雇用管理に役立つヒントとなるでしょう。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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