2019年度より施行され、運用が開始されている特定技能制度について、既に特定技能以外にも3つの在留資格が創設されている介護分野での活用をするメリット・デメリットを紹介します。

介護分野で在留資格が4つも創設されている理由

介護分野では現在、技能実習、特定技能、特定活動(EPA)、介護の全4種類の在留資格が用意されております。同じ職種での就労を目指すのにこれだけ多くの在留資格が用意されている職種は他になく日本政府が介護分野の人手不足をどれだけ申告に考えているのかが分かります。

日本人でも就労を希望する人数が少ない介護分野は、同じく外国人にとっても決して人気の職種とは言えません。

面接時などでは介護の仕事が好きと答える外国人候補者がいますが、本音では仕事が好きではなく日本で就労するため、お金を稼ぐために介護分野にて就労をしております。

また、技能実習生などが就労する多くの産業(例 製造業、農業など)は日本語レベルが低いもしくはほとんど話すことができなくても仕事をすることができるケースもある中で介護分野は特に日本語レベルが最も求められる分野のひとつと言えます

そのような理由もあり、日本政府も介護分野に関しては4種類の在留資格を用意しており、介護の在留資格に関していえば無期限での就労も可能である為、キャリアアップ志向の高い外国人にとっても魅力の高くなるような在留資格を設けることで、多くの外国人が応募したくなるような施策をとっています。

また、介護分野は他の分野と比べてもロボットなどでの代替が難しい分野でもあり、外国人材に頼る必要がある大きな理由のひとつとなっています。

特定技能制度を活用する理由

4つも用意されている介護分野の在留資格の中でも特定技能制度の活用をおすすめする理由について、他の3つの在留資格について簡単に紹介をします。

技能実習

技能実習では3年~5年間の期間、介護分野にて外国人を雇用することができます。

一方でこの在留資格を利用して外国人を雇用するためには手続きや要件が他の介護分野の在留資格より難しく、ほとんどの場合で日本に来日するのが初めての外国人であるため、入国をする前に日本語の勉強をしてきますが、日本語レベルも低いことがあります。

この在留資格を活用する最大のメリットは雇用している間、外国人は転職ができないということです。そのため、外国人が在籍している間は安定した雇用が実現できますが、介護施設が地方であったり、賃金が低い倍は技能実習が終わった途端に待遇の良い他の施設へ転職してしまう可能性も高いです。

特定活動(EPA)

インドネシア、フィリピン、ベトナムと日本の間で取り交わされた経済連携協定(EPA)をもとに運用されている制度です。そのため、この在留資格を活用できるのはこの3ヵ国のみとなります。また、この在留資格を活用するためのルールも3ヵ国それぞれで異なり、要件も異なることから、採用する外国人の国籍によっても技術や日本語レベルが異なります。

介護

介護の在留資格は介護分野にて就労をしている外国人全員が目指している在留資格で取得することができた外国人は無期限の在留資格更新が可能となり、家族の帯同も可能となります。この資格を取得するためには基本的に介護福祉士の資格を取得することが必要なため、外国人にとっては難易度の高い資格であると言えます。

特定技能制度とは

特定技能制度は介護分野を含む14分野にて在留資格を発行している制度になります。

特定技能制度が施行された目的は日本の人手不足に陥っている産業の救済であるため、この14分野に関しては日本政府が特に人材不足が深刻であると認めており、そのために外国人を雇用して人材不足解消をするために施行されました。 特定技能制度が施行された際に今後5年間でのそれぞれの分野での受入れ目標数が発表されておりますが、介護分野は一番多い5年間で6万人の目標数が設定されておりました。

特定技能制度活用のメリット

〇新設要件がない

新しく解説した介護施設の事業所でもすぐに特定技能外国人の雇用が可能です。 技能実習や特定活動(EPA)であれば事業所などを開設してから3年間は外国人の雇用をすることができませんが、特定技能制度であれば介護分野でもすぐに外国人の雇用をすることができます。

〇雇用することのできる外国人の人数枠が多い

特定技能制度にて雇用することのできる外国人の人数は常勤介護職員数が上限とされており、たとえば技能実習制度であれば常勤職員数に応じて人数枠が設けられており、常勤職員数が30名の介護施設であれば、受入れ可能な人数は3名のみとなります。

〇入国・在留資格変更後直ぐに就労開始が可能

特定技能制度では技能実習にあるような入国後の講習受講などの義務がないため、特定技能の在留資格を取得して入社した当日から直ぐに就労開始をすることができます。

また、技能実習制度で実施することが義務となっているそれらの講習費用やその間の生活費などは受入れ企業負担となるため、費用の面からみても特定技能制度を活用して外国人を雇用した方が余計な費用を抑えられます。

特定技能制度活用のデメリット

〇転職が可能である

技能実習生や特定活動(EPA)の外国人と比べても転職が容易にできてしまうため、他に待遇の良い介護施設の求人などがあるとそちらへ転職してしまう可能性があります。

その場合でもその介護施設が外国人受入れをしているかどうかや、特定技能の在留資格は最大5年間のみ認められているため、残りの年数によっても転職難易度が変わってくると思われます。

〇賃金が技能実習生や特定活動(EPA)の外国人よりは高い場合が多い

特定技能の外国人の場合、技能実習生や特定活動(EPA)の外国人と比べても高い賃金を支払わなければ人材が集まらない場合が多いです。

しかしながら、特定技能外国人の場合は賃金の支払い以外は、1年に1度の在留資格更新の費用以外、発生する経費がないため、たとえば技能実習生を雇用する場合であれば、往復の渡航費、講習費用+その間の生活費、技能検定試験費用(最低2回)など賃金以外にも多くの費用が発生します。また、毎月、監理団体へ支払う費用についても、特定技能外国人の登録支援機関へ支払う費用より高いことが一般的なため、賃金は高いとはいえ、支出する費用は変わらない場合もあります。

※提携する登録支援機関などによりかかる費用は変わります。

まとめ

今回は介護分野にて特定技能制度を活用するメリット・デメリットについて紹介をしました。介護分野では日本の産業の中でも特に人手不足が深刻で且つロボットなどでは代替が難しい分野であると言われているため、コロナウイルスの影響下でも求人が多く、常に人手不足の分野であると言えます。

現在、特定技能制度での受入れ外国人数は当初の目標人数よりも大幅に少ない状況となっているため、特に介護分野では引き続き特定技能外国人も引く手あまたとなると予想されます。

特定技能外国人の受入れを検討されている介護施設では、優秀な外国人の獲得に向けて早急に準備を進めて、常に新しい情報が更新されている特定技能制度の情報に明るい登録支援機関などと提携して制度の運用をして行く必要があります。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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