特定技能・技能実習
特定技能受入れ機関も必読の外国人従業員へのさまざまな支援事例について紹介します。
現在、日本には多くの外国人材が在留して、少子高齢化の進んだ日本にて無くてはならない労働力の担い手として活躍しています。
そんな中で、既にいくつかの企業では、今後の優秀な外国人材争奪戦を見越して、外国人従業員のための環境整備を進めています。
今回はそんな企業の例を踏まえながら今後の外国人材活躍のための支援事例について考えていきます。
目次
企業が既に行っている外国人従業員に配慮した環境整備
今後、ますます人手不足が進んでいくと予想される日本において、多くの人材確保に苦労している企業では、外国人は欠かすことができない存在になっており、外国人従業員の定着率増加を促進するために多くの企業が試行錯誤しています。
今回はそんな企業の取り組み事例を紹介します。
カシオ計算機株式会社の取り組み事例
外国人従業員を多く採用しているカシオ計算機株式会社では、職種別の外国人採用を行っており、入社前から担当業務を特定しています。
外国人にはキャリアアップ志向の人材が多く、そのための経験を積むのに最適な環境を提供することが、求人をする際の大きなPRポイントであると考えていたため、この施策を始めています。
実際に海外では求人の際にも職種別採用が一般的なため、外国人にとっても応募がしやすく、求人応募者も集まりやすくなりました。
また、イスラム教の社員のために、礼拝の部屋を用意したり、豚肉やアルコールを摂ることができないことに配慮するため、食堂で提供する料理にそれら成分が入っているかがかわるような工夫をしています。
それに加え、定着率アップの施策として、外国人従業員が日本語能力検定を受験する際にはその受験料を会社が補助して、テストの受験料を勧めています。
外国人にとっても日本語能力を高めることは今後の日本でのキャリアアップに大きくかかわることであり、受入れ企業にとっても、外国人従業員の日本語レベルが向上すれば日本人社員や顧客とのコミュニケーションレベルを高めることにつながると考えて施策を考えたようです。
セブンイレブンが実施を発表した取り組み事例
セブンイレブンのコンビニ事業では、特に人手不足が深刻で、主に外国人留学生アルバイトがその業務の大きな担い手となっています。
セブンイレブン以外のコンビニ上位4社のデータをみると、従業員全体に対する外国人比率は7%であり、いかに外国人従業員に依存しているかが分かります。
そんな中でセブンイレブンは下記➀~④を中心とした支援の実施を発表しています。
①セブンイレブン業務についての研修実施や仕事紹介
セブンイレブンのデータベースに登録したり、外国人従業員に対して引越先近辺のセブンイレブンの求人情報紹介、外国人従業員専用の研修を開催して商品発注などの技術を学べる機会の提供をする。
②就業実績をデータベース化し、銀行や不動産業者と契約する際の信用補完に利用
セブンイレブンでのデータベースを作成(在籍していた学校名などのデータを保存、就労実績や国籍)、クレジットカードの作成や賃貸住宅の契約など、外国人が日本で行う際に難易度の高い手続きの際に不動産業者や金融機関などとデータベースの情報共有をすることで、外国人の信用を担保し、これらの手続きの難易度を下げることができます。
➂外国人の通う学校などと連携をして外国人のキャリアアップに有効な語学、簿記、プログラミング学習などの講座機会を提供し、大手の専門学校などと提携して、簿記、語学、プログラミングなど外国人従業員の就職の際に役立つスキルを身につける機会の提供をする。
④会社説明会やインターンシップの情報提供
独自講座やインターンシップの仲介、会社説明会の情報提供などを実施する。
株式会社ドリームアーツの取り組み事例
多様で優秀な社員を世界中から集めたいとの思いで始まった外国人への取り組みを行っており、本社の20%の社員は既に外国人となっています。
社内でのパーティなどの行事への参加を促し、業務外でのコミュニケーションの機会が多く生まれるようにセッティングしています。年2回実施している職務アンケートも実施をし、本人のキャリア形成に反映をして、現状の仕事と将来のキャリアのギャップを埋めるよう工夫をしています。
特定技能外国人を雇用している企業の取り組み事例
株式会社八街産直会での取り組み事例
特定技能外国人・技能実習生を雇用している企業では入国前の事前研修や事前ガイダンスの際に野菜の品種名など仕事に結び付く簡単な日本語テストの実施や清掃方法の指導徹底をしていることで、入社してからの日本人社員との確執などが起こることなども減り、入社前教育を惜しまないことで後々の手間が減ることにつながっています。
盆踊りなどのイベントへの参加促進をしており、且つ専務が参加している消防団へも外国人の希望があれば参加をさせています。
その他、外国人が病気にかかった際には通訳が同行して、日本語能力の弱い人材でも不安にならないような環境づくりや、仕事中に日本人社員と雑談をするなどでコミュニケーションを多くとるように心がけています。また、技能実習生や特定技能外国人に対しては受入れ企業や監理団体、登録支援機関が生活面での予測できないトラブルを避けるなどの目的でプライベートな時間(休日など)にもルールを設けることもありますが、そのようなことには口出ししないで自由にさせる方針をとっています。
日本人と外国人労働者で報酬内容などに差を設ける企業がある中で、日本人と同様に毎年4月昇給を実施し、自動車免許取得をした外国人に対しては、グループリーダーのような地位を与えており、技能実習生から特定技能外国人材に移行した際にも、賃金等を3%程度引き上げている上で、仕事のできる人材には段階的な賃金の引き上げを行っている。
有限会社鎌田牧場での取り組み事例
特定技能外国人・技能実習生を雇用している有限会社鎌田牧場では外国人従業員のモチベーション向上のためにさまざまな施策を行っております。
外国人従業員にも自動車免許の取得を推進しており支援をしています。自動車が無いと不便な環境であるため、自動車免許取得は必須と考え、免許取得費用や軽自動車の購入費用をすべて会社負担で支援しております。最初にできるだけのことはしてあげて安心させたいとの思いから、免許取得試験に合格するためにも、日本語教育を充実させています。
現在いる外国人については将来的に後輩外国人材の管理者的なポジションを担ってもらうことを想定しており、大型特殊免許を取得できた場合にはキャリアアップさせるなどの予定もしています。
教育学部卒の日本語講師が毎週水曜日の7時〜 8時半まで日本語教室を催しており。日本語教室では日本語検定1級の教科書を買って教えている。 業務柄、畜舎を離れることができないため、社員旅行を実施することはできないが、歓迎会の実施、ガス抜きのための宴会の実施を行い、日本人従業員と外国人従業員のコミュニケーションの場ともなっている。
まとめ
今回は外国人従業員を受入れをしている企業が行っている支援事例についてについて紹介をしました。
外国人従業員の中でも特に特定技能外国人に対する支援については内容が異なることも
分かりました。
今後、外国人材を採用する予定の企業についても支援について検討することをおススメします。