就業や留学で来日したベトナム人にご飯をふるまう機会があると思います。そのとき気になるのが、「ベトナム人はどんな食べ物が苦手なの?」という点。日本とベトナムは、食文化がかなり異なるため、意外な食べ物がNGということも少なくありません。そこで、ベトナム人が苦手な食べ物を4つご紹介します。

ベトナム人が苦手な食べ物①:生卵

ベトナムでは、ニワトリが丸ごと売られているなど、鶏肉と卵が身近な食材ですが、生卵についてはNGです。

ベトナム人は生の卵が苦手

ベトナムのスーパーには、日本と同じように生卵がパックで売られています。そのため、卵かけご飯のように、そのまま食べても問題ないように感じられます。しかし、ベトナムの卵は日本と比較すると消費期限が長く、店頭に並ぶまでの保管状態にも不安が残ります。そのため、古くなった卵で食中毒が引き起こされることも多く、ベトナム人は生卵に苦手意識を持っています。

卵はたっぷりの油で揚げるのが定番

とはいえ、ベトナム人は卵が大好きです。目玉焼きをパンにはさんだり、ご飯のうえにのせたりして食べるのが一般的。日本の食べ方と異なるのは、たっぷりの油で揚げるという点。しっかりと火を通した固焼きが一般的です。また、ベトナム人に喜ばれるのが卵焼き。焼いた卵をクルクルと巻くテクニックはベトナムにはありません。「美しい」「キレイ」と感動すること間違いなしです。

ベトナム人が苦手な食べ物②:お寿司

個人差はあるのですが、日本スタイルのお寿司に苦手意識を持つベトナム人も少なからずいます。

お寿司文化が定着しているベトナム

お寿司は、ベトナムの飲食店のメニューとして定着しており、老若男女問わず浸透しています。送別会や誕生日会などパーティーを開催するときに欠かせないのが大容量のお寿司セット。お昼どきになると、テイクアウト用のお寿司を売る露店も立ち並びます。そのため、どんな日本の料理を食べたいのか聞いたら、「お寿司」と答えるベトナム人も多いでしょう。

日本スタイルのお寿司が苦手ということも

ただし、ベトナムのお寿司は、日本のものとは雰囲気が異なります。生魚はまぐろとサーモン限定。エビも使われますが、茹でたもののみです。人気のネタは、アボカド、チーズ、カニカマなど。醤油ではなくマヨネーズやチリソースをつけて食べる習慣があります。また、軽く衣をつけてサッと挙げた天ぷら寿司も大人気。もちろん、生魚のお寿司を好むベトナム人も多いのですが、火を通していないものはNGという人もいますので、あらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。

ベトナム人が苦手な食べ物③:カレーライス

ベトナムではカレーを食べる文化はあるものの、日本のカレーとは味も食感も違うため、苦手な人が多い印象です。

ベトナムのカレーは辛味がなくサラサラ

ベトナムのカレーは黄色っぽく、一見すると日本のカレーと似ています。しかしながら、実際に食べてみると全く辛くありません。ベトナムカレーの黄色の正体はサツマイモ。さらにココナッツミルクも入れているため、どちらかと言うと甘い料理です。スープカレーのようにサラサラで、とろみはまったくなし。ごはんやフランスパンを浸して食べるのが定番です。具材は鶏肉が定番ですが、茹でたエビやイカを入れることもあります。

カレーを出すときは甘口にすること

大人数で食事をするとき、カレーを作ることも多いと思います。そのとき、東南アジア出身だから辛くても大丈夫だろうと決めつけないこと。なぜなら、ベトナムには辛い料理がほとんどないからです。むしろベトナム人が好むのは甘い味付け。ベトナム人にとって中辛や辛口は「激辛」に相当します。甘口のカレーを出してあげると、食べやすくなると思います。さらに、ベトナム人が食べ慣れている鶏肉を使えば、母国の味に近づくでしょう。

ベトナム人が苦手な食べ物④:羊羹

ベトナムでは、中秋月に月餅を食べる文化があり、餡子そのものは大好きですが、羊羹については要注意です。

ベトナムには餡子のお菓子がたくさん!

ベトナムでもっとも有名な餡スイーツが月餅。中国から伝わったお菓子で、ランタンを飾って祝う中秋月に、家族や友人たちと一緒に食べる習慣が残っています。ベトナムの月餅は重量感があり、一人で完食するのは困難。ケーキのように等分でカットして、みんなで分けあって食べます。そうすることで、全員で幸せを分かち合えると言い伝えられています。

ベトナム人は羊羹の甘さと食感が苦手

月餅のなかにも餡子は入っていますが、緑豆を使ったヘルシーなこし餡。ベトナム人は、何を作るにも大量の砂糖を入れる甘党ですが、餡についてはさっぱり味を好みます。日本人にとって羊羹は、甘いお菓子という認識は薄いでしょう。しかしベトナム人にとっては甘すぎるようです。加えて、甘さ以上に苦手意識の原因となっているのが食感。寒天で固めたことによる食感に顔をゆがめられることが多々あります。そこで、羊羹をあげるなら、水羊羹にしたほうがいいかもしれません。

まとめ

ベトナム人は、新しい味に対する警戒心が高く、初めて食べるものに拒否反応を示す傾向があります。とはいえ、環境に対する適応能力も高いため、日本生活が長くなるにつれて、苦手意識は和らいでいきます。外国人=納豆NGというイメージがありますが、納豆を愛するベトナム人の多数。そこで、最初は苦手意識を理解しつつ、少しずつ食べ物の幅を広げてあげると、日本の食生活に馴染んでくるでしょう。

この記事を書いた人

ひこすけ

大学にて10年間勤務したのち、ベトナム現地企業にて、地方中小企業の販路拡大支援に従事する。大学では留学生、ベトナムでは現地スタッフ指導経験あり。日本語教育にも関わっていました。現在はライターとして活動中。

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