ビザ・在留資格
特定技能2号から『永住権』へ
就労制限がなく在留資格の更新が楽になる『永住権』は、他の在留資格を比べると外国人がやらなければならない手続きが省略されて日本で暮らしやすくなるというメリットがあります。
ただし、『永住権』の制度が、日本人と全く同等の権利が保障されるわけではありません。個人レベルの事情によっては、『永住権』の制度内容と日本の社会制度がリンクしない場合もあり、不具合が生じることもよくあります。
あくまでも、日本人に近い暮らしができるようになるという点では、日本に長期定住したい外国人は、『永住権』の取得は将来的に考えておくと良いかもしれません。
特定技能では『永住権』を取得できるのか?
『永住権』取得の第一条件である在留期間は10年です。この期間に5年間の就労条件が必要です。この在留期間の条件には、特定技能と技能実習での就労期間は除外されています。
例えば技能実習5年から特定技能1号で5年、あわせて10年の就労期間があった場合でも、『永住権』の在留期間10年の条件には当てはまりません。
では、特定技能1号で5年、その後、特定技能2号へ移行した場合はどうなるのか?
特定技能2号は、在留資格の更新が3年、1年、6ヵ月ごとに行います。更新制限はないため、継続して在留できた場合には、『永住権』の取得も可能となります。
特定技能制度は2019年にスタートしてから現在、特定技能2号の外国人は、まだいませんが、特定技能1号の外国人が継続して5年間務めて2号へ移行できた場合には、将来的には『永住権』の取得も可能となります。
また、特定技能2号で就労できる産業は現在、建設分野と造船・舶用工業分野のみとなります。
『永住権』とは?
『永住権』の権利は、職業選択の自由と在留期間に制限がないことです。
他の在留資格では、職業の分野以外の就労は認められていません。また、在留資格の更新も有効期限にそって行うことが義務付けられています
※2020年6月時点の在留外国人数288万5,904人中 『永住者』は800,872人。
『永住権』取得の審査基準について
日本に10年以上在留している外国人が『永住権』を取得したい場合には、以下のような条件があります。
(※在留期間は原則的には10年ですが、日本人配偶者の場合は3年以上/日本への貢献が認められた場合には5年以上になります。)
●素行が善良であること
交通法の違反や入国管理法の違反者は対象外となります。
●独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日本で働き、経済的に成立した生活ができる外国人であることが条件となります。
所有資産、職業や年収が問われます。
●永住が日本国の利益に合すると認められること
原則として、日本に10年以上継続して在留してること、10年中5年以上は就労資格または居住資格によって在留していることが条件となります。
●公的な義務や納税義務を果たしていること
国民年金や国民健康保険などの納付証明書も必要書類として提示を求められます。
●公衆衛生上に問題がないこと
感染症や中毒のおそれがないことも審査の判断材料となっています。
●身元保証人が必要なこと。
日本国内に居住している日本人または永住者の身元保証人が必要です。
※特例となる条件
●日本人の配偶者であること。
婚姻生活が3年以上で日本在留期間1年以上であれば、特例として『永住権』が取得できます。
●難民認定を受けていること
難民認定後5年以上継続して日本に在留していることで、『永住権』の取得できる対象者になります。
●高度人材であること
在留資格、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3分野の場合は、3年以上在留し、70ポイント以上であれば、原則の10年を満たなくても『永住権』取得が可能となります。また80ポイント以上であれば在留期間1年以上で取得可能になります。
(上記3分野の場合、出入国在留管理庁が認定するポイント制によって評価が加算されています。)
『永住権』も7年ごとに更新がある
『永住権』では、在留資格の制限はなくなりますが、7年ごとに在留カードの更新は必要です。更新には、在留カード/パスポート/写真を提示すれば即日に更新可能となっています。
『永住権』の申請について
◇申請書類
在留カード/写真/立証資料/資格外活動許可書/在留資格証明書/パスポート/
身分証明書
◇申請手数料 8,000円
◇所要期間 4か月
出入国在留管理庁の混み具合や、必要書類の不備や添付資料の追加などから、所要期間は異なりますので、準備期間を設けて手続きを進めましょう。
http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html
↑出入国在留管理庁:永住許可申請
まとめ
特定技能外国人が『永住権』を取得するためには、特定技能1号から2号への移行が必要となります。『永住権』の条件である在留期間10年を満たすためには、特定技能2号からのカウントになり、業種も現在は2分野となっています。
特定技能外国人が、長期的に日本に定住したいと考える場合『永住権』への条件を満たすためには、審査基準にそって普段の行いを正すことから始めると良いでしょう。
在留期間10年の間の日本での素行は、各種申請書以外に『永住権』取得できるための準備として必要なこととなります。