2021年7月現在、依然としてコロナの影響により技能実習生や特定技能外国人を含めた外国人の出入国が基本的にはできおりません。出入国に加えて、既に技能実習を修了した外国人についても帰国することができず帰国できる日を多くの外国人が待っています。

日本で待機している間もアパート代や食費などの生活費を払う必要があるため、多くの技能実習を修了した外国人は実習先の会社にて引き続き就労をしている場合が多いです。

そんな中でも一部の外国人については主に会社の都合で実習先での仕事継続をすることができておりません。そんな外国人を救済するために創設されたのが雇用維持支援を目的にした特定活動。今回はそんな特定活動について詳しく紹介していきます。

雇用維持支援の特定活動を申請できる対象者

コロナの影響により倒産、人員整理、雇止め、採用内定の取消しをされたり、技能実習の継続が困難となった技能実習生,特定技能外国人などが対象となります。

特定産業分野(特定技能制度での14分野)にて再就職をすることを目的として外国人を雇用するため、受け入れ企業も特定産業分野に当てはまる企業である必要があります。

ただし、14分野のうちの製造業3分野にて特定活動を付与されるには技能実習生の際に製造業分野での職種の技能実習を行っていた技能実習生または製造業3分野にて特定技能として就労していた外国人である必要があります。

雇用維持支援の特定活動を申請できる要件

〇この特定活動にて雇用される外国人は、受け入れ企業にて同じ業務に従事し、同じ経験・責任の程度である日本人従業員と同じ報酬を享受する必要がります。

〇受け入れ企業で就労する1年間で特定技能外国人の業務に必要な技術を身に着けることを希望していることが必要です。

〇受け入れ企業も雇用する外国人が業務に必要な技能を身に着ける希望があることを理解した上で雇用する必要があります。

〇受け入れ企業は外国人を適正に受け入れることができる体制を有していること(過去に外国人の受け入れ実績があることや受け入れ業務を担当したことがある職員がいること、監〇理団体または登録支援機関による出入国・労働関係法令の遵守など、適切な指導・助言を受けることができること)が必要です。

〇特定技能移行のために必要な技能を身に着けるための指導・助言を行い、日常生活における支援を実施できる体制も備えている必要があります。(監理団体や登録支援機関に支援を実施を委託するのも可能)

〇雇用した外国人の受け入れ継続が困難となった場合はすみやかに出入国管理局へ報告すること

雇用維持支援の特定活動申請の必要書類

雇用維持支援の特定活動申請のための書類は特定技能などの申請と比べると多くありません。申請業務に時間をかけずに少しでも早く職を失った外国人に就労の機会を与えられるようにする必要があるためです。前の受け入れ機関が作成する書類もありますが、迅速に書類作成をして下記で紹介する書類を作成し申請をして下さい。

●在留資格変更許可申請書または在留資格更新許可申請書

申請のために必要な書類です。申請する外国人本人の写真や在留カード、パスポートの情報などを記載する書類です。

  • 受け入れ機関が作成した説明書

こちらの書類は①解雇等された方②技能実習を修了し,帰国が困難となった方➂本措置で1年間在留後もなお,帰国が困難である方(在留資格更新許可をする方)”の3パターンの記載例が出入国管理局のホームページに掲載されています。それぞれ説明文の内容が違うので、基本的には出入国管理局の見本どおりの文章を使い、申請する外国人の状況にあわせて編集する方法で説明書の作成をするのがおすすめです。

  • 雇用契約書・雇用条件書

雇用維持支援の特定活動にて就労する受け入れ企業での雇用条件などを記載した書類になります。

  • 受け入れ機関が作成した賃金の支払に関する書面

こちらは技能実習や特定技能の雇用条件書の別紙と同じ内容の書類です。支払われる賃金の詳細や控除額が記載されています。

  • 従前の監理団体等が作成した技能実習生の現況に関する説明書

こちらの書類については技能実習を修了しているが帰国が困難な方のみ提出が必要です。

雇用先が見つからない外国人のためのマッチング支援

自身で就職先を見つけることができず監理団体や登録支援機関などの力を借りても就職が困難な外国人については出入国管理局へ”個人情報の取り扱いに関する同意書”を提出することで再就職支援をうけることができます。

同意書については出入国管理局のホームページより8か国語でフォーマットがダウンロードできるようになっているため、日本語の能力が高くない外国人でも記入・申し込みがしやすくなっています。

出入国管理局は外国人の情報を関係省庁やそのた都道府県の関係機関へ取り次ぎ、求人中の企業とマッチングすれば、同意書に記載した連絡先に連絡が入り、再就職実現をする可能性があります。

また、出入国管理局のホームページでは求人をしている企業の情報や求職者の情報も掲載されているため直接確認をして問い合わせをすることもできます。

個人情報取り扱いに関する同意書については外国人の在留資格によって提出先が違うので下記を参照してください。

〇特定技能外国人として就労していてが失業をした場合

⇒外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局

〇特定技能外国人以外の外国人

⇒〒100-8973 東京都千代田区霞が関1-1-1 出入国在留管理庁 在留管理支援部 在留管理課 雇用維持支援担当

〇求職者情報提供先・求人事業者情報の掲載

URL : http://www.moj.go.jp/isa/nyuukokukanri14_00014.html

その他

雇用維持支援の特定活動を使用して就労を開始した外国人については、元々技能実習生であった場合でも帰国費用については本人負担が原則となります。もし、本人が帰国費用を支払うことができない場合は受け入れ機関が負担する必要があります。技能実習生であれば帰国費用についても外国人が支払うことはないため、この点については契約の前に本人にしっかりと説明をして同意をしていただく必要があります。

また、受け入れ企業が特定活動にて外国人を受け入れた後に受け入れ企業の経営状況の悪化などで受け入れ継続が困難となった場合は受入れ”困難に係る報告書”を出入国管理局へ提出する必要があります。こちらの書類では受け入れ困難になった理由や外国人の今後の予定などについて記載をして出入国管理局へ提出をします。

現在ではコロナの影響が長期化しているため、1年を経過しても特定技能への移行ができず、帰国もできない場合は在留期間の更新が可能となっており、その際に扶養される期間は最大で6カ月となります。

まとめ

出入国管理局からは現在、さまざまな特定活動が発表されています。技能実習を修了した外国人が主に申請をする特定活動は実習先でそのまま就労を継続して帰国できる時期を待つ特定活動です。

しかし、それでも実習先の経営状況の悪化で就労ができない外国人が増え、一方では新規の技能実習生を見込んでいたが入国ができずに人で不足で困っている企業があり、それら双方の問題を解決するために一時的に創設されたのが雇用維持支援の特定活動と言えます。

一番優先されるのは、帰国することができない外国人が就労をして日本にいる間の生活費を工面できる状況にすることであり、生活費が無く帰国もできない外国人が犯罪に手を染めるケースもあるため、このようなことにならないためにも積極的に雇用維持支援の特定活動を活用して特に技能実習を修了しても帰国することのできない外国人が帰国する日まで困らないようにする必要があります。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主に特定技能に関する情報を発信しております。

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