2019年より始まった新しい在留資格「特定技能」。注目を集めながらも、コロナの影響もあり、政府の想定よりも大幅に少ない人数の外国人が特定技能の在留資格を取得して日本で就労しています。

今回はそんな特定技能外国人を受け入れるために実施することが必須となっている「事前ガイダンス」について詳しく解説をしていきます。

目次

特定技能外国人受け入れに必須の事前ガイダンスとは?

事前ガイダンスとは特定技能の在留資格認定証明書の交付申請前または特定技能の在留資格へ資格変更する前に、特定技能の雇用契約の内容、日本において行うことができる内容、入国・在留のための条件、その他の留意すべき事項について特定技能となる予定の外国人に情報提供の実施をすることです。

事前ガイダンスは3時間以上の実施が義務付けられており、特定技能の在留資格申請の際にも、適正に実施をしたことについて確認されます。

3時間より少ない時間で申請をして、審査を通過する場合もありますが、その際にも適正に実施を行い、特定技能外国人が内容について、しっかりと理解したことについて、追加で確認資料等を求められる場合もあります。

また、実施の方法については対面だけでなく、テレビ電話装置やその他の方法により実施が可能とされているため、例えば、現在は日本にいない外国人に対して事前ガイダンスを実施する場合にはZoom等を利用して、実施することも可能です。

事前ガイダンスは誰が実施するのか?

事前ガイダンスは特定技能外国人を雇用する受け入れ企業が実施することとなっていますが、受け入れ企業での実施ができない場合は事前ガイダンスの実施を登録支援機関へ委託することができます。

※登録支援機関に事前ガイダンスの実施を委託する場合は、事前ガイダンス以外の義務的事項(生活オリエンテーションやその他、特定技能外国人を雇用する場合に実施することが必要な事項)についても全て登録支援機関に委託することとなります。

事前ガイダンスで網羅する必要のある内容について

特定技能外国人が従事する業務の内容,報酬の額その他の労働条件に関する事項についての説明

実際に特定技能として就労をする事業所にて、具体的にどのような作業に従事するのかについてや月額・時給・日給で支払われる賃金について実際にいくらの報酬が支払われるのか、その他ボーナスや昇給の有無、休日や休暇についても雇用条件書をもとに特定技能として就労した後に思い違いがないようにしっかりと説明をする必要があります。

特定技能外国人が日本において行うことができる活動の内容

特定技能外国人は日本において、特定技能の在留資格にて許可を得た仕事以外をすることはできません。

許可を受けた業務以外で就労した場合は資格外活動となり、法律で罰せられるため、そのことについて、理解をしてもらいます。

特定技能外国人が入国前にするべき手続に関する事項の説明

特定技能外国人は入国前に必ずすべき事項(自国での大使館手続き等)や現在のコロナ下での必要事項(レジデンストラック等の特別に設定された順守するべきルール等)について漏れなく説明を受けなければなりません。

保証金はもちろんのこと、その他、金銭その他の財産を管理されず,かつ特定技能外国人が雇用契約を途中で中断した場合にも不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産を没収する契約をしないことについての説明

特定技能外国人はいかなる理由であっても、保証金を徴収されたり、契約不履行についての違約金契約をすることも許されません。

特定技能を雇用する企業がこれらの徴収や契約をしてはいけないことは勿論のこと、取次機関等のその他、関わる機関の全てが特定技能外国人に対してこれらをすることは許されず、これらが違法であることについて、特定技能外国人に対してもしっかりと説明をする必要があります。

特定技能外国人が申し込みの取次又は、その他手続きにおいて、自国の機関にお金を支払っている場合にはその額及び、内訳を十分に理解して、当該機関との間で合意している必要があること

特定技能外国人に対して、特定技能になるための手続きの補助や就職先の斡旋等をした場合に本人から費用を徴収することは禁止されていませんが、徴収をする場合でも事前に金額や内訳についてしっかりと説明をして合意を得ている必要があります。

支援に関する費用について、直接または間接的に負担させられないことについての説明

特定技能を受け入れる企業は登録支援機関に特定技能への義務的支援等を委託することができ、その際には登録支援費として、登録支援機関へ毎月の支払をすることが一般的です。

この登録支援費を特定技能外国人より徴収することは禁止されていますので、本人にも説明を行います。

受け入れ企業が入国の際に港又は空港において送迎を行う必要があることについての説明

特定技能外国人に対しての義務的支援の一つに、入国する際の空港等からの送迎があります。

この送迎は義務となっているため、入国の際には必ず実施する必要がありますが、特定技能外国人の中にはそのことを知らないで入国してくる方もいるため、入国の際のルールについて周知するために説明が義務となっています。

適切な住居を確保する支援がなされること

特定技能外国人が安心して就業ができるように、本人の希望もしっかりと踏まえた住居を提供する必要があります。事前に、会社からの距離や毎月の家賃等について希望を聞いた上でアパートを契約するか、既に寄宿舎をもっている場合には入居した際の条件等についてもしっかりと説明して、後々、誤解がないようにする必要があります。

また、住居確保の際に発生した初期費用(敷金・礼金等)については特定技能外国人に負担させることはできません。

日常生活または社会生活に関する相談又は苦情の申し出を受ける体制ができていること

日本で特定技能として就労をしている間は日常生活や職場での不満、困り事について相談をすることができる体制がなければなりません。

事前ガイダンスの際には、どのように相談ができるのが、相談者への連絡手段についてもしっかりと説明をして、特定技能外国人の失踪につながらないように、環境を整えておく必要があります。

事前ガイダンス実施の際の注意点

事前ガイダンスは特定技能となる外国人に対して、本人が十分に理解することのできる言語にて実施をすることが求められており、日本語での実施も禁止はされておりませんが、基本的にはそれぞれの母国語にて実施をすることが通常です。

そのため、事前ガイダンスの実施は通訳を介して行うか、特定技能外国人の母国語を話せる担当者が実施をすることについて注意が必要です。

また、これまで事前ガイダンスの方法について説明をしてきましたが、事前ガイダンスの内容については詳細まで厳密に決められているわけでは無く、現在では、以前まであった事前ガイダンスの確認書という書面の提出も不要となっております。

しかしながら、事前ガイダンスを疎かにして良いというわけではないので、必須の項目は抑えて、適正に実施してください。

まとめ

特定技能外国人の受け入れ前に必須の事前ガイダンスについて説明をしました。

事前ガイダンスが特定技能外国人が就労してから、聞いていたことと違った、ということが無いように、ポイントを押さえてしっかりと実施をすることが必要です。

最長5年間の就労期間を受け入れ企業と特定技能外国人の双方がお互い良い関係を気づくことができるようにするためにも今回の記事内容についてしっかりと理解をして、事前ガイダンスの実施をしてください。

事前ガイダンスの内容について詳しく解説します。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 海外人材担当 主にベトナムに関する情報を発信しております。

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