初めて会った印象

私が勤める会社では自動車部品を製造します。
ある年、初めて10名のベトナム人技能実習生を受け入れしました。
弊社では中途採用の新人や新卒社員が入社した際に社員全員が集まる全体朝礼が開かれます。

全体朝礼では、一人一人自己紹介をしていきます。
呼ばれた技能実習生は元気に返事をし、片言ではありましたが丁寧に自己紹介をしていました。
朝礼が終わり社内の研修後、技能実習生は私の部署へ配属することになりました。
初めて会った時の印象は全員緊張した様子でしたが「これから働くぞ」という強い意思が瞳の奥に輝いていました。

入国前に語学や日本について勉強をしてきている

技能実習生は、日本に入国する前に「日本の文化、風習」などをしっかり勉強してきているため礼儀正しいです。
また語学も特定技能在留試験である「日本語能力試験」に合格してきているので片言ではありますが日本語を敬語で話すことができます。
正直に言ってしまうと同時期に入ってきた新卒社員よりも礼儀正しく好印象でした。

技能実習生は仕事を積極的にする

特に日本人と違った点は残業に対しても心良く了承してくれるところです。
生産ライン業務意外での改善活動で使う作業ラックや製品供給ラックも作り方を教えたらスグに作ることができました。※自社で工作用のパイプを組んで作成しています
なぜそこまで積極的に働いてくれるのか聞いてみたところ、”母国にいる家族に稼いだお金を毎月送金”していることを教えてくれました。
日本で稼いだお金を貯金して「裕福な家庭を気付きたい」というベトナム人技能実習生は多いのだと思います。
なので積極的に仕事もしてくれて、なおかつ残業も頼みやすいので職場としてもトラブルが無く良い雰囲気を作ることができました。

自己学習も欠かさない

ある技能実習生に話を聞いてみたところ毎日勉強を欠かさずしているそうです。
仕事が終わり自宅に帰ったあとは必ず日本語の勉強を1時間程度しているといいます。
また日本語以外の国の言葉(英語、中国語)を勉強する別の技能実習生もいました。

日本以外の仕事についた時に困らないようにするためだそうです。

当時の作業マニュアルは全て日本語だった

私が担当したのは弊社で初の技能実習生だったため、ベトナム語を通訳できる社員は所属しておらず月一回の訪問カウンセリングで来る通訳の先生だけでした。

なので作業マニュアルは全て日本語で当然ながら機能しません。

実業務の作業訓練では大まかな作業方法を口頭で伝えましたが理解するのには時間がかかりました。

口だけの説明では理解が不十分だったため身振り手振りで教育していました。

簡単な日本語は通じますが会社で使う専門的な用語を教える時には苦労しました。

教育での不安要素と解決策

教育をしていく中での不安要素はやはり言語だと思います。

初めて技能実習生を受け入れた時、どのように話せばいいのかわからなかったので個人でベトナム語の基礎本(”おはよう””お疲れ様”などの基本的に使える言葉が記述されている本です)を買って勉強していました。

しかし、いざ実際に教育を初めてみると予習していたベトナム語は全く通じなかった思い出があります。(後に聞いて見ると発音が違ったみたいです)

通訳の先生も月に一度しか訪問に来ないため自分でなんとかするしかない状況でした。

何か解消できる案はないか模索していたある日、技能実習生の1人がスマホの翻訳アプリで私に何かを伝えようとしてました。

その時に「これは使える!」と思い自分のスマホにインストールしたのがGoogle翻訳でした。

アプリを入れてからは専門的な用語をわかりやすい日本語に置き換えて自分の声を音声入力しベトナム語に変換して伝えました。

翻訳アプリのおかげで作業教育の進捗が劇的に変わり見事に期限内に教育を完了することができました。

また、このアプリがきっかけで技能実習生とのコミュニケーションをスムーズに取ることができ国境という壁を乗り越えれた気分になりました。

研修時のエピソード

研修中にあったエピソードとして「青汁事件」を紹介します。

ある日、技能実習生の中でも特にユーモアのある男性に日本の「青汁」を奢ってあげることにしました。※青汁を奢る際に当人は遠慮していましたが無理矢理買いました、ベトナムでは他者に奢る習慣はないのかもしれません

「青汁」を飲んだベトナム人実習生は顔をしかめていましたが、案外普通に飲んでいたのに驚きました。

感想を聞いてみると「オイシイ」と言ってくれて期待を裏切られましたが「周囲の笑い」は確実に取れていました。

そして、この事件をきっかけに同時期に来た新卒社員とも仲良くなることができたのです。

コミュニケーションのきっかけとなった良い事件だったと自負しています。

まとめ

ベトナム人技能実習生の教育経験で得られたのは

・コミュニケーションの際にベトナム語の勉強は実質不要

・技能実習生は日本人より真面目

・母国の家族の為に積極的に働く

・翻訳アプリで教育の進捗スピードアップ

現在は技能実習生を受け入れる体制ができていてベトナム人翻訳の社員採用、作業マニュアルの管理が整っています。

なので、教育から実業務までのスムーズな流れを実施することができています。

今後もさらに受け入れを強化し、より良い人材育成に務めていくでしょう。

この記事を書いた人

Kuji

自動車部品の製造業に10年間勤めており管理職を5年間経験。 ベトナム人技能実習生の生産作業教育を担当。 現在は、本業をしながら副業ライターとして多くの分野の執筆を手掛ける。

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