ビザ・在留資格
特定活動ビザとは?対象となる活動の分類や注意点を解説!
特定活動ビザは、幅広い活動内容が認められる在留資格です。そのため、特定活動ビザで滞在する外国人を雇用する場合は、活動内容と仕事内容を事前に確認することが重要です。今回は、特定活動ビザの概要から、特定活動ビザを持つ外国人を雇用する際の注意点について解説します。
目次
特定活動ビザとは?
「特定活動ビザ」とは、他の在留資格に当てはまらない活動が許可されるビザです。「就労ビザ」と並んで、外国人が国内で働くことを認めるビザですが、以下の違いがあります。
・就労ビザ
法務省が認めた職種でのみ申請・取得ができる。転職し従事する職種が変わる場合は、新たな就労ビザに切り替える必要がある。
・特定活動ビザ
法務大臣が、個々の外国人の許可される活動について指定する。活動内容によっては就労が認められないものもある。
特定活動ビザは、アマチュアスポーツ選手やワーキングホリデー、大学・大学院を卒業した留学生の就職活動時などに申請されます。これらの活動は一例であり、許可される活動は広範囲に渡ります。
特定活動について詳細は「(制作中)特定活動ビザとは?就労ビザとの違いやビザの申請方法を解説」の記事をご覧ください。
在留期間は最長5年
特定活動ビザで許可される在留期間は、最長で5年です。その活動内容によって、以下のように期間が定められています。
- 5年
- 3年
- 1年
- 6ヵ月
- 3ヵ月
また、法務省が指定した期間で特別に許可されるケースもあります。
ビザの対象になる特定活動の種類
特定活動で許可される活動内容は、「入管法に規定されたもの(法定特定活動)」「法務大臣に告示されたもの(告示特定活動)」「それ以外の活動(告示外活動)」の3種類に分けられます。それぞれの種類についてご紹介していきます。
入管法に規定された法定特定活動
出入国管理及び難民認定法(入管法)では、以下の3つの活動を特定活動ビザの対象にすると定めています。
1.特定研究等活動
法務大臣が指定する機関との契約に基づいて、特定分野に関する研究、指導、教育を行う活動です。特定分野の研究や指導、教育と関連する事業を経営する場合にも認められます。なお、教育を目的として申請する際は、外国人が契約している機関が、大学もしくは大学に準ずる機関・高等専門学校に限定されます。
2.特定情報処理活動
法務大臣が指定する機関との契約に基づいて、自然科学・人文科学の分野に関する技術や知識が求められるような、情報処理に関係する業務を行う活動が含まれます。
3.特定研究等家族滞在活動/特定情報処理家族滞在活動
上述した1と2を目的として在留資格を申請する外国人に扶養されている配偶者や子といった家族が申請します。
告示特定活動
告示特定活動とは、入管法で規定された3つの活動とは別に、法務大臣によって認められた活動内容を指します。2022年現在、告示特定活動に該当する内容は、活動内容や申請する本人の国籍、配偶者や子などの組み合わせで46種類存在しており、ワーキングホリデー、インターンシップ、国際文化交流、外交官の家事使用人、情報処理技術者等、活動内容の範囲も多岐に渡ります。
【告示特定活動の例】
・外交官・領事館の家事使用人
・ワーキングホリデー
・アマチュアスポーツ選手
・インターンシップ
・国際文化交流
・看護研修生
・介護研修生
・情報処理技術者
なお、インターンシップの場合は、インターンシップの期間が1年未満かつ大学の修業年限の二分の一を超えない範囲であることと、個々の告示特定活動により条件が定められています。
告示外特定活動
「入管法で規定された活動」「告示特定活動」に当てはまらない活動内容の場合は、法務大臣が個々に上陸・在留の拒否を判断します。これを、告示外特定活動といいます。
代表的な告示外特定活動にあてはまるのが、留学生の就職活動です。日本の大学や大学院、専門学校を卒業した留学生は、就職活動を目的とした特定活動ビザの取得が認められます。
・継続就職活動大学生
「留学」の在留資格で、日本の大学・短期大学・大学院等を卒業し、卒業前から引き続き行っている就職活動を目的に国内に滞在する
・継続就職活動専門学校生
「留学」の在留資格で、日本の専門学校を卒業し、卒業前から引き続き行っている就職活動を目的に国内に滞在する
・継続就職活動日本語教育機関留学生
海外の大学もしくは大学院を卒業し、「留学」の在留資格で国内の日本語教育機関を卒業した外国人で、卒業前から引き続き行っている就職活動を目的に国内に滞在する
特定活動ビザを持っている外国人を雇うことはできる?
特定活動ビザを持っている外国人を、企業が雇用することは可能です。
ただし、特定活動ビザは、許可する活動内容が個々に異なります。そのため、もし特定活動ビザで滞在している外国人を雇用する場合、まず、許可されている活動内容を確認する必要があります。
活動内容を確認するには
日本に滞在する外国人は、「在留カード」の携帯が義務付けられています。特定活動ビザで滞在する外国人の場合、在留カードの表面に「特定活動」と在留資格が記載され、裏面の下部に「指示書により指定された就労活動のみ」と記載されています。
指示書は本人のパスポートに添付されていますので、「在留カードの確認」と「指示書の確認」の2点を合わせて、特定活動の在留資格であることと、許可された活動内容を確認できます。
出典:出入国在留管理庁ホームページ
参考:出入国在留管理庁ホームページ「知っておきたい!!在留管理制度あれこれ」
認められた活動と合致すれば就労可能
特定活動ビザの在留資格は、認められた活動以外、行うことはできません。「アマチュアスポーツ選手」の特定活動ビザで活動する外国人を、ITエンジニアとして雇用することは、違法となります。
なお、「ワーキングホリデー」や「サマージョブ」など、働く上での仕事内容や職種の制限が少ない特定活動ビザであれば、幅広い職種で雇用が可能です。ただし、海外の大学生を就業経験として受け入れる制度では、労働力確保の意味合いではなく、本人の社会実践経験の一つとして受け入れることが重要です。
・ワーキングホリデー
外国人が1年を超えない範囲で観光を主な目的として滞在する際に利用できる制度です。観光費用を補うための就労が認められています。ワーキングホリデーの特定活動ビザは、年齢制限や国籍等一定の条件があります。
・サマージョブ
外国人が夏休みといった長期の休暇を利用し、3ヵ月を超えない範囲内で日本の企業で働くことができる制度です。企業にサマージョブの外国人を受け入れる体制が整っているほか、学業が休暇中であることの証明が求められます。また、仕事内容は本人の学業に関連したものが認められます。
・インターンシップ
日本の企業で、有償の職業体験として海外の学生が国内に滞在する制度です。18歳以上の海外の大学生であることや、大学の専攻とインターンシップの内容が関連している必要があります。
ビザ変更で就労可能に
特定活動ビザが許可している活動内容と、雇用予定の仕事内容が合致しない場合、ビザの変更により許可された内容の範囲内で働けるようになります。
特に特定活動ビザで就職活動を行う、国内の大学や大学院を卒業した外国人を採用する際は、特定活動ビザから就労ビザへの切り替えを忘れてはいけません。ただし、就職活動の特定活動ビザを有しているからといって、就労ビザが自動的に取得できるとは限りません。申請するビザの諸条件を満たしている必要があります。ビザ変更の際は、「在留資格変更許可申請」を行います。
ビザを変更する際は、以下のポイントに留意しましょう。
・外国人が従事する予定の仕事内容が、就労が認められる在留資格の条件を満たしているか
・外国人の学歴、スキルと従事する予定の仕事内容が関連しているか
・雇用条件が、同じ仕事内容や職種に従事する日本人社員と同等(以上)であるか
・在留資格変更許可申請書のほか、大学・大学院等の学歴や職歴を証明する必要書類がきちんとそろっているか
特定活動ビザの注意点
幅広い活動が認められる特定活動ビザですが、なかには働くために別途申請が必要な活動内容もあります。また、就職活動中の留学生が内定をもらったあとは、滞在中の「活動内容」に変化が生じるため、新たな特定活動ビザに切り替える必要があります。
内定後は新たな特定活動ビザに変更が必要
留学生は、卒業や就職のタイミングによって、内定から入社までの期間が空くケースがあります。たとえば卒業後に特定活動ビザで就職活動を行い、内定をもらったものの入社が次年度になるような場合も、引き続き特定活動ビザで滞在が可能です。ただし、入社時期までの滞在を目的とした新たな特定活動の在留資格への変更が必要となります。
内定者が採用までの期間、日本に滞在する場合の特定活動ビザに関するポイント
・本人が「留学」の在留資格、もしくは就職活動中(継続就職活動)の「特定活動」の在留資格を有していること
・内定後1年以内であり、かつ、卒業後1年6ヵ月以内に採用されること
・入社後に従事する仕事が、「技術・人文知識・国際業務」など就労にかかわるいずれかの在留資格に該当すること
・内定者として滞在している状況に問題がないこと
・企業は内定者と一定期間ごとに連絡をとること
・万が一、内定取り消しが発生した場合は、すぐに地方出入国管理局に連絡すること
・アルバイトなどの就労は原則不可(一定の条件のもと、アルバイトを認める特例措置もあります)
参考:大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ|出入国在留管理庁
資格外活動は時間が制限される
就職活動を目的とした特定活動ビザや、内定中の滞在を目的とした特定活動ビザでは、アルバイトなどでの就労は認められていません。こうした外国人をアルバイトで採用する場合、本人が「資格外活動許可申請」を行う必要があります。
資格外活動許可の申請を行う際のポイント
・アルバイトの内容が風俗営業や法令に違反する活動でないこと
・本人の素行が不良でないこと
・許可される就労は週28時間が上限であること
資格外活動のように、働ける時間に制限がある外国人をフルタイムで働かせたり、ビザで許可された活動内容以外の仕事に従事させたりする行為は、「不法就労助長罪」とみなされる恐れがあります。その場合、3年以下の懲役・禁固または300万円以下の罰金という罰則が雇用主に科せられます。
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特定活動ビザは、幅広い活動内容が認められる在留資格です。
現在、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、本国へ帰国出来ない外国人への柔軟な対応もなされています。特定活動ビザで滞在する外国人を雇用する場合、認められている活動内容が雇用予定の仕事内容と合致するものかをあらかじめ確認しましょう。合致しない場合は、ビザの変更により雇用が可能になるケースもあります。就労が可能な「技術・人文知識・国際業務」といった在留資格は学歴要件や仕事内容の範囲が厳格に定められているため、ビザの切り替えが可能か不安な場合は専門家に相談してみることをお勧めします。
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