特定技能・技能実習
技能実習から特定技能への移行 コロナ禍の特例制度もあり
コロナ禍による人の移動制限は、経済や環境の変化に大きな影響を与えています。外国人雇用の業界では、新しく外国人の人材を受け入れ検討あるいは現在雇用している企業の業務停滞が余儀なくされている現状です。
コロナ以前から日本に来日中の技能実習生の中には、行く先の見えない状況が続いている人も多く見られます。2019年4月改正された「特定技能」は、14分野において外国人労働者の就労が可能となり、日本企業の人手不足解消策として新しく設けられた在留資格です。
「特定技能」改正より以前に設けられていた在留資格「技能実習」は、外国人労働者が日本の技術を身に付けて帰国後その技術を広めるという国際貢献のための目的であり、「特定技能」とは目的が異なります。
少子高齢化や労働力人口の減少が進んでいる中、また特例のコロナ禍に、新しく外国人を雇用する企業においては正しい入管法の理解と特例制度などの変更事項の情報が必要となり、今までの「技能実習」による雇用から「特定技能」への移行で雇用管理の見直しを必要とされる場合も、制度の流れを正しく追っていく必要があります。
目次
「技能実習」∼「特定技能」へ
今まで在留資格「技能実習」で外国人労働者の雇用していて、引き続き「技能実習」修了後も再雇用したい場合は、「特定技能」への移行が可能となります。「特定技能」取得の原則は、業種別の技能試験や日本語試験に合格する必要がありますが、以下の条件を満たした場合免除されます。
- 雇用者が「技能実習」2号まで修了していること(2号=実習期間2,3年)
- 「技能実習」の職種や作業内容が「特定技能」1号の同業種の場合
※②の条件については、現在コロナ禍のよる特例制度により、同業種ではく異業種への転職、就労が可能となっています。
技能実習生として来日中の外国人労働者を新たな業界先で雇用する場合、この特例制度により認められるということになります。
「特定技能」
「特定技能」と「技能実習」の異なる点
「特定技能」は実務経験や学歴を問わない資格であり、「技能実習」では認められていなかった単純労働や28時間以内のアルバイトなどが認められています。
「技能実習」は原則として転職することができませんが「特定技能」は、同業界内での転職が可能になります。(現在コロナ禍では異業界への転職も可能)
「特定技能」受け入れ業種14分野
1建設業
2造船・船用工業
3自動車整備業
4航空業
5宿泊業
6介護
7ビルクリーニング
8農業
9漁業
10飲食料品製造業
11外食業
12素形材産業
13産業機械製造業
14電気電子情報産業
「特定技能」はその条件によって「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に分かれています。
●「特定技能1号」
受け入れの分野で相当程度必要な知識又は経験を有すること
6ヶ月または4ヶ月ごとの更新があり、日本滞在期間最長5年
雇用主は「特定技能」1号に対して日本での支援計画を策定して実施する義務があります。
「特定技能1号」に必要な試験は以下の2点
【技能試験】
受け入れ側企業の業種別に必要な技能試験
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
【日本語試験】
日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上
(技能実習2号修了した外国人は試験等免除)
「特定技能2号」→ 2021年度から試験が開始される予定
受け入れ分野で熟練した技能を有すること。
3年、1年または6ヶ月ごとの更新があり、滞在期間に制限なし。家族の帯同は可能。
現在では【建設業】と【造船・舶用工業】のみに許可されている在留資格です。
●●コロナ禍の特例制度による人手不足解消
コロナ禍の景気低迷の影響により人手不足の企業においては、外国人技能実習生から「特定技能」への移行によって外国人雇用管理を見直すことが要点となっています。
異業界への転職可能になる「特定技能」は、景気回復や人手不足解消のカギとなること、またコロナで失業した外国人労働者の再就職への足がかりとなっています。