外国人社員を雇用する際に気を付けたいポイントは、度重なるギャップが知らず知らずに拡大しないようにすることです。そのためには、共通する一定のルールにそった毎日のコミュニケーションが必要となるでしょう。

今回はネパール人社員雇用に役立つ内容となります。ネパール人社員を管理する際にポイントとなることをまとめてみました。お役立て下さい。

いつでも気軽に使える「ナマステ」

「ナマステ」は、朝昼晩いつでも使えるネパールのあいさつです。

日本語のあいさつのように時間帯にわけて言葉を変える必要がなく、気軽にいつでも使えるネパール語です。

胸の前あたりで合掌しながら「ナマステ」をするのが一般的です。

目上の人に対しては、同じ意味を持つ「ナマスカール」を使います。

ネパリーあいさつ『ご飯食べた?』

ネパールで日常的によく使われる言葉は「カナカヌバヨ?」。もうご飯食べましたか?と言う意味になります。

ネパール人同士があいさつ代わりによく使う言葉で、近所同士のあいさつや身近な人に対しては、「ナマステ」よりも「カナカヌバヨ?」をよく使います。

ご飯を食べたか食べていないか?という気遣いは、相手の健康や無事を思いやる気持ちと、親近感を持つ声かけとして意味のある言葉となります。

ちなみに、中国でも同じような習慣があり共通した文化があるようです。

プライベートな話をフランクに話す

はじめて会った人でもすぐ仲良くなるのがネパール人の特徴です。まずは、自分の経歴や生い立ちを気さくに話はじめ、共通点を見つけてお互いの距離感を縮めるのがネパール人同士のコミュケーションの方法です。

相手の様子を伺うとか、恥ずかしがって自分のことを隠したがるネパール人はあまりいません。隠しておきたいプライベートな話でもあっけらかんと話します。

日本人の特徴は、相手に気を遣って話すという良い面がありますが、これはネパール人からすると相手との距離が遠く親近感を持てないという印象のようです。

タブーや善悪に対する対応の違い

法律違反やその他ルールを犯すということに対して、寛容であるネパール人が多く見られます。ネパール国内では、犯罪歴のあるネパール人でも、地域コミュニティから疎外されずに通常に暮らして行くことができます。

犯罪者や悪い行為を行った人は、特別な人間として敬遠されることもなく、ネパールには共存して暮らしていける社会があります。こういったネパール人の行動は、善悪に対する意識が鈍いという捉え方と、一方では善悪に対する意識が寛大であるとも受け止めることができます。

日本では、ネパール式の善悪に対する考え方は通用しないため、ネパール社員には、日本のルールにそってあらためて指導する必要があります。

また、ネパール人の寛容さは、評価できる部分として知っておく必要もあるでしょう。

他人との境界線について

海外で働いたり生活したことのあるネパール人がネパールの良い所について話しているのを聞くと、ネパールでは好きな時間やアポなしで他人の家に行き来できるからいいと言います。

ネパール人の対応は、突然の来客に拒むことなく歓迎することや、近所に住む身近な隣人は、家の中に勝手に入っても気にしないという習慣があります。郊外の地域では家の玄関は開けっ放しであることが多く、近所の人は家族のように家の中に自由に出入りをしています。海外では、こういった自由な交流ができないため、ネパール人らしさが発揮できないことに窮屈さを感じるようです。

逆に、日本人は時間を決めてから行動することやプライベートな部分を重視したい傾向があり、ネパール人の求める価値観とは異なります。

ネパール人らしさと言えば、人との境界線を持たないことが大きな特徴であり、日本社会に馴染むためには、ネパール人はネパール人らしさや価値観を維持しながら日本に合わせて行動することが必要となり、人との距離感については日本人に理解してもらう必要があります。

貧富の差について

ネパール社会は、貧富の差が目に見えて身近に感じる環境があります。貧しいということがどういうことなのか?ネパール人はもちろん、ネパールに長く居住している外国人も、ネパールで生活をしていくためには、貧しさに対する価値観をしっかり持つ必要があります。

貧困層の人に、奉仕の精神で対応することは短期間の付き合いの中では可能ですが、ネパール社会で共に生きて行くためには、奉仕以外に、時には都合よく付き合うことも必要です。

ネパール人社員を雇用管理する際には、ネパール社会の貧困やカースト制度について知っておく必要があります。

自分のキャリアより稼がなくてはならない

日本で就労するネパール人は自分のキャリア作りの前に、ネパールの家族のために稼ぐことを目指します。自分のためや自分作りという考え方は、ネパール人の求める価値観とは異なります。

お金を稼ぐということに対しては、手段や方法に捕らわれず積極的に向き合う習性があり、彼らが貧困層であるかそうでないかに係わらず、ネパール人の大半は、日本は稼げる国という認識を持っています。

キャリア志向が薄い理由には、キャリアを目指すほど裕福で恵まれた暮らしをしているネパール人が少ないことや、ネパール国内では、持続可能な経験を踏んでキャリアを積み上げることができる社会が存在しないため、ネパールの若者が目指す方向性は、稼ぐことに偏りがちです。

メンタルが壊れる前に離れる

外国人が日本で働く場合に生じる心の問題は、様々あります。ネパール人の場合は、メンタルによる問題が起こる前にあきらめたり、その環境から離れるといった行動になりがちです。ストレスを溜めるほどの我慢や忠誠心のような性格はあまりみられません。

ネパールは、社会基盤がまだ未熟なため、働くにも生活していくにも、厳しい条件の中で生きて行くための知恵が必要となります。いかに自分にとって都合よく暮らせるかというのがネパール人の意識としてあり、ストレスを溜めるまで持続して何かをやり遂げることが得意ではありません。

ネパール人社員を継続して業務に対応させるためには、ネパール人の習性を根本から指導する必要があります。

まとめ

以上は、個人差があることは前提となりますが、大半のネパール人に共通する習慣や特徴となります。

ネパール人社員雇用の際で何かのヒントになれば幸いです。

この記事を書いた人

shyu

海外在住ライター/ネパール国籍の配偶者と日本国籍の息子と日本人の私の3人家族。カトマンズに12年暮らす。 海外に住むということは、国籍はもちろん生まれも育ちも違う者どうしが、なんらかの関係性を保ちながら生きる修行をしているようなもの。 今後、日本で暮らし働く外国人が増えて行くことが予想される中、その動向を外国人の心情に寄り添った視点で発信していきたい。

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